村松貞次郎

村松 貞次郎について

村松貞次郎（むらまつ ていじろう）は、1924年6月30日に静岡県島田市で生まれ、1997年8月29日に他界した日本の著名な建築史家です。彼は東京大学の名誉教授としても知られ、建築技術や職人の技に関する深い研究と卓越した著作を通じて、日本の建築文化に多大な貢献をしました。

来歴

村松は旧制八高を経て、東京大学第二工学部建築学科を卒業しました。彼の学問の道は、1973年に発表した著書『大工道具の歴史』での毎日出版文化賞受賞とともに、本格的に認知されるようになりました。この業績により、彼は建築史の分野における重要な人物としての地位を確立しました。

1974年には東京大学生産技術研究所の教授に任命され、その後、1983年には日本近代建築の評価に基づく都市計画の業績に対して日本建築学会賞を受賞しました。彼は1984年に定年退官し、その後、法政大学教授および明治村の館長を務めるなど、教育と研究の両方で活躍しました。また、彼の門下生の一人には著名な建築家の藤森照信がいます。

研究内容

村松は日本の建築生産や技術革新についての研究を行い、特に煉瓦造や鉄筋コンクリート造といった新しい建築技術の導入過程を探求しました。その成果は、彼の労作『日本近代建築技術史』にまとめられています。この書籍では、日本の建築がどのように発展してきたのか、また新技術がどのように受け入れられてきたのかが詳述されています。

さらに、同時代の建築に関するルポを掲載した『現代建築をつくる人々 設計組織ルポ』（浜口隆一との共著）も注目されています。このように、村松の研究は、近代建築における技術の進展や、そこに携わる人々の姿を浮き彫りにするものでした。

また、彼は伝統的な職人の技術にも強い関心を持ち、これを伝えるために様々な著作を残しました。特に『大工道具の歴史』や『道具曼陀羅』などの著書では、職人の技術と文化の重要性が強調されています。

主な著書

村松の著作は多岐にわたります。以下は彼の主な著書の一部です：

• - 『日本建築技術史』（地人書館, 1959）
• - 『日本近代建築史ノート 西洋館を建てた人々』（世界書院, 1965）
• - 『大工道具の歴史』（岩波書店, 1973）
• - 『日本近代建築技術史』（彰国社, 1976）
• - 『道具曼陀羅』（毎日新聞社, 1976）
• - 『日本近代建築の歴史』（日本放送出版協会, 1977、岩波現代文庫, 2005）
• - 『道具と手仕事』（岩波書店, 1997、新装版・岩波人文書セレクション, 2014）

これらの著作は、日本の建築技術や職人文化を理解する上での重要な資料となっています。村松貞次郎の功績は、現代日本の建築学において不可欠なものであり、彼の研究と著作は今も多くの人々に影響を与え続けています。

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