村瀬誠

村瀬誠（むらせ まこと）氏は、1949年3月22日生まれの日本の実業家であり、環境活動家です。元東京都墨田区職員という経歴を持ち、雨水利用の普及に尽力したことで知られています。その貢献から、「ドクター・スカイウォーター（雨水博士）」、「ドクター雨水」という愛称で親しまれています。

経歴

大阪市住吉区で生まれた村瀬氏は、1976年に千葉大学大学院薬学研究科修士課程を修了後、墨田区職員となりました。1981年10月、本所保健所在職中に発生した台風による大雨で両国や錦糸町が洪水に見舞われたことを機に、洪水防止と水資源としての雨水利用に着目します。以来、雨水利用を積極的に推進し、両国国技館での雨水利用設備の設置に尽力するなど、区政に深く関わっていきます。

1994年8月には、ボランティアや同僚職員の協力を得て、世界初となる雨水利用に関する国際会議を墨田区で開催し、実行委員会事務局長を務めました。1996年には、東邦大学で博士（薬学）の学位を取得しています。博士論文の題は「環境保健活動現場における実践と政策研究 “雨水利用を中心として”」です。

2002年には、革新的な雨水プロジェクトが評価され、日本水大賞を受賞しました。同年には、環境分野のノーベル賞とも称される「ロレックス賞」にも「イノベイティブ雨水プロジェクト」で応募し、準入賞を果たしています。2009年に墨田区を退職してからは、東京スカイツリーなどの都市における雨水利用プロジェクトや、バングラデシュでの貯水タンク設置プロジェクトなど、国内外で活躍しています。

人物

株式会社天水研究所の代表取締役を務めるほか、東邦大学薬学部の客員教授、NPO法人「雨水市民の会」理事（企画渉外委員長）、国際水協会雨水利用専門家グループ副座長など、多数の肩書きを持っています。天水研究所のプロフィールによれば、愛称は「ドクトル天水」とされています。

村瀬氏は、フランスの書籍「未来を変える世界の人々80人」にも選出された人物です。現在は静岡県に在住し、自宅にも雨水タンクを設置しています。

2003年に開催された第三回世界水フォーラムの「雨水利用」分科会では、「戦争のためのタンク（戦車）はいらない。平和のためのタンク（水槽）を」と訴え、話題を集めました。サインを求められる際には、「No More Tanks for War, Tanks for Peace（戦争はやめて平和に、戦車はいらない、雨水タンクを）」と記すことでも知られています。

風の旅行社が主催する「風カルチャークラブ」では、「雨も溜めれば資源」と題した講座で講師を務めました。また、政治家の加藤修一氏と治水対策について意見交換をするなど、幅広い分野で活動を行っています。日本ビジュアル著作権協会の会員でもあります。

著書

単著
『環境シグナル : 現場で磨く感性と科学』 北斗出版 （1996年）
『保健環境論』京都廣川書店 （2014）

共著
『都市の水循環』 日本放送出版協会 （1982年）
『都市のゴミ循環』 日本放送出版協会 （1985年）
『村瀬誠の自治体職員世直し志士論』 公人の友社 （1993年）
『循環都市へのこころみ : 環境をいかに取り戻すか』 日本放送出版協会 （1994年）
『やってみよう雨水利用 : まちをうるおすみんなの工夫』 北斗出版 （1995年）
『環境時間 : モモと一緒に考えよう!』 同学社 （1999年）
『雨の事典 : 空と海と大地をつなぐ』 北斗出版 （2001年）
『雨を活かす : ためることから始める』 岩波書店 （2004年）

記事
『道経塾』 モラロジー研究所 （2000年）
『環境会議』 宣伝会議 （2003年）
『河川』 日本河川協会 （2007年）
『CEL : Culture,energy and life』 大阪ガスエネルギー・文化研究所 （2009年）

論文
『環境保健活動現場における実践と政策研究 : 雨水利用を中心として』 東邦大学 （1996年）

出演

テレビ
『夢の扉 〜NEXT DOOR〜』 TBS （2008年6月15日放送）

ラジオ
『日曜喫茶室』 NHK-FM放送 （2003年6月8日放送）
『SHARE SMAILE』 J-WAVE （2008年11月24日 ～ 2008年11月27日放送）
『フロンティアーズ 〜明日への挑戦』 エフエム東京 （2009年7月18日放送）

外部リンク

株式会社天水研究所

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