村田千尋

村田千尋氏は、音楽学者として著名であり、東京音楽大学で教鞭を執っています。1955年東京に生まれ、東京大学文学部美学科を卒業後、国立音楽大学大学院で音楽学を専攻し、修士課程を修了しました。その後、弘前大学教育学部、北海道教育大学札幌校で教員として勤務し、2006年より東京音楽大学教授に就任しました。

村田氏の専門は、フランツ・シューベルト、ヨハン・フリードリヒ・ライヒャルトを中心とした18・19世紀のドイツリートです。リートとは、ドイツ語の歌曲のことで、詩と音楽が密接に結びついた芸術性の高い音楽ジャンルです。村田氏は、これらの作曲家の作品を詳細に分析し、当時の社会背景や文化との関連性を考察することで、リートの本質に迫る研究を行っています。

研究テーマは多岐にわたり、音楽社会史、環境美学、近代日本音楽教育史などにも関心を持っています。音楽が社会や文化の中でどのように機能し、人々に影響を与えてきたのか、また、音楽教育がどのように発展してきたのかについて、幅広く研究しています。

著書としては、『シューベルトのリート 創作と受容の諸相』（音楽之友社、1997年）、『音楽の思考術 より深く音楽を知るための実践的技法』（音楽之友社、2000年）、『シューベルト』（音楽之友社、作曲家・人と作品シリーズ、2004年）などがあります。これらの著書は、シューベルトのリート研究における重要な文献であるとともに、音楽をより深く理解するための思考法や分析手法を学ぶための入門書としても高く評価されています。

翻訳書としては、アントン・ノイマイヤー著『ベートーヴェン,シューベルト 現代医学のみた大作曲家の生と死』（東京書籍、1993年）、ヴァルター・デュル著『声楽曲の作曲原理 言語と音楽の関係をさぐる マドリガーレからリートまで』（音楽之友社、2009年）などがあります。これらの翻訳書は、音楽学の研究者だけでなく、音楽を愛好する人々にとっても貴重な情報源となっています。

村田氏の研究は、ドイツリートの理解を深めるだけでなく、音楽学の分野全体の発展に大きく貢献しています。その研究成果は、多くの論文や著書として発表されており、国内外の音楽研究者から高く評価されています。また、教育者としても、多くの学生を育成し、音楽の世界に貢献できる人材を輩出しています。

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