村田茂樹 (国土交通官僚)

村田 茂樹（むらた しげき）は、1967年（昭和42年）2月8日に東京都で誕生した、日本の運輸・国土交通分野における行政官僚である。都立国分寺高校を経て、1990年（平成2年）に東京大学法学部を卒業。同年4月、当時の運輸省に入省し、そのキャリアをスタートさせた。

入省後、村田氏は国土交通行政の幅広い分野で経験を積んだ。キャリアの比較的早い段階では、地方における実務を経験。具体的には、九州運輸局企画部の地域交通企画課長として、地方の交通政策立案に携わった。また、国際的な視野を広げる機会として、在インドネシア日本国大使館において一等書記官を務め、外交の側面から日本の国益や政策推進に貢献した。さらに、地方自治体への派遣も経験し、熊本県地域振興部交通対策総室長として、地域に根ざした交通課題への対応にあたった。これらの地方や海外での経験は、その後の本省での職務における重要な基盤となったと言える。

本省に戻ってからは、国土交通省の主要な部署を歴任した。総合政策局海洋政策課長として、日本の広大な海洋に関する政策立案に貢献。大臣官房参事官（航空予算）としては、航空関連の予算編成や政策調整に関わった。鉄道局幹線鉄道課長を務めた時期には、日本の大動脈である幹線鉄道網の維持・発展に関わる政策を担当した。その後、組織全体の政策企画を担う総合政策局政策課長、そして組織の人事を司る大臣官房人事課長という中枢ポストを歴任し、行政組織運営に関する深い知見と経験を培った。

近年では、特に重要な局長級以上のポストを歴任している。2019年（令和元年）7月9日には、我が国の観光立国推進を担う観光庁において、観光地域振興部長に就任。各地の観光資源開発や地域経済活性化に向けた取り組みを推進した。その働きが認められ、2021年（令和3年）7月1日には観光庁次長に昇進し、観光行政全般の企画・立案・調整を統括する立場となった。

観光庁での活躍の後、2022年（令和4年）6月28日には、内閣府の総合海洋政策推進事務局長に任命された。ここでは、海洋基本法に基づき、我が国の海洋政策を一元的に推進するための司令塔としての役割を果たした。海洋資源開発、海洋環境保全、海洋安全保障など、多岐にわたる海洋関連政策の調整・推進に尽力したことは特筆される。

さらに、2023年（令和5年）7月11日には、国土交通省鉄道局長に再び就任。日本の重要な社会インフラである鉄道システムの安全性向上、利便性向上、将来像の構築といった喫緊の課題への対応を指揮した。そして、2024年（令和6年）7月1日、国土交通省の組織運営における最重要ポストの一つである大臣官房長に就任した。大臣官房長は、省の予算、人事、広報、国会対応など、組織全体の円滑な運営を統括する極めて責任の重い役職である。

村田茂樹氏は、運輸省入省以来、地方交通、国際関係、地域振興、海洋政策、航空、鉄道、総合政策、人事、観光、そして再び鉄道と、実に多様な分野の要職を歴任してきた。この幅広い経験と深い知見は、現在の国土交通省の組織運営において、複雑化・多様化する行政課題に対応するための強力なリーダーシップの源泉となっている。日本の社会基盤整備や国民生活に深く関わる国土交通行政において、その手腕が今後も大いに期待されている行政官である。

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