来島恒喜

来島恒喜の生涯と暗殺事件

来島恒喜（くるしま つねき）は1860年1月31日に福岡県福岡市に生まれました。彼は日本の右翼に属する活動家であり、その生涯は短くも激動に満ちたものでした。来島は筑前共愛公衆会や玄洋社といった組織に参加しながら、次第に国際問題への関心を深めていきます。特に、条約改正を巡る外国人司法官任用の問題に反発していました。

早年期と思想の形成

来島は福岡藩士の家に生まれ、高場乱の興志塾に通い、後に堅志社や十一学舎を経て向陽義塾に加入しました。彼の学問好きの精神は、思想的な成長に寄与したことでしょう。1883年には上京し、中江兆民からフランス語を学びました。この時期、彼は政治的な改革や国際情勢に強い関心を抱くようになります。

彼は、筑前共愛公衆会や玄洋社に参加し、特に朝鮮開化党の金玉均との交流が彼の思想をより深める要因となったと言われています。朝鮮の政治についての議論を通して、国際社会での日本の立ち位置を見直すようになったのです。

暗殺計画の背景

その後、大隈重信が提案した条約改正案に対して強い不満を抱くようになり、特にその改正案が次の国際交渉に対して道を開くことになると危惧しました。しかし、当時の玄洋社の立場は弱く、彼はその組織を去ることになります。退社の理由には、同じく玄洋社の社員である月成功太郎に影響を及ぼさないためとも言われています。

来島は、1889年に大隈重信を狙った暗殺計画を明確に実行に移すことになります。この計画には月も加わりそうな気配がありましたが、来島は一人で行動する決断をしました。

大隈重信への襲撃

1889年10月18日、来島は外務省から帰る途中の大隈が乗った馬車に爆弾を投げつけました。この爆弾は馬車内で爆発し、大隈は重傷を負うことになります。爆発の後、来島は場で自ら命を絶ちました。享年29歳の若さでした。大隈は生き残るものの、右脚を切断する結果となり、この事件は日本の政治に大きな影響を与えることになりました。

事件がもたらした後の影響

事件後、反発していた閣僚たちは条約改正交渉の中止を要求し、黒田清隆内閣は総辞職に追い込まれます。この影響は明治政府の行動に大きな変化をもたらしました。

大隈は後のインタビューで来島の行動について言及し、その勇気を評価する発言を残しています。彼は「爆裂弾を放りつけた奴を、決して気違いの人間とは思わない」と感想を述べ、来島の行動を一種の勇気ととらえたのです。

来島の遺志と葬儀

来島の葬儀では、頭山満が弔辞を読み、彼の行動を称賛する言葉を述べました。彼がどういった思いで行動したのか、またどのような薄幸の運命を辿ったのかを考える上で、この弔辞は重要です。解決すべき課題に直面した際の来島の選択は、現代にも多くの示唆を与えます。

彼の遺産

来島の墓碑は、後に広田徳平によって寄贈され、博多の玄洋社墓地にも墓が設けられました。彼の行動は、後々まで日本の歴史に残る事件となり、多くの文学作品や映画に取り入れられました。その名は、今でも語り継がれています。

結論

来島恒喜という人物は、時代背景と国家意識の中で激動の末に自らの信念を貫いた一人の若者でした。彼の行動は単なる暴力ではなく、それによって引き起こされた歴史的な波紋を通じて、私たちが現代の日本を考える上でも重要な課題として残るのです。

もう一度検索