来派

来派（らいは）

来派は、日本刀の刀工の流派として知られ、五箇伝の中では山城伝に位置付けられています。この流派は鎌倉時代中期から南北朝時代にかけて、山城国（現在の京都府）で活動していました。来派で特に名を馳せた刀工には、国行、国俊（通称：二字国俊）、来国俊、来国光、来国次などが存在します。

来派の歴史と概要

山城国では古くから日本刀の製作が行われており、在銘の作刀が残る刀工としては三条宗近が知られています。彼は永延年間（987-988年）に活躍したとされています。その後、鎌倉時代初期に粟田口派が出現し、来派はそれに続く形で鎌倉時代中期からの作例が見つかっています。

来派の起源については、観智院本「銘尽」により、高麗（朝鮮）からの帰化人が出自とされています。初代とされる国吉については、現存する作刀がないため、国行が実質的な祖とみなされています。この流派は武士や貴族たちに重用され、その技術は九州の菊地地方へ移住した国村を始め、全国各地に広がりました。特に名作が多い「延寿派」は、大正時代には27代目まで続きました。

作風の特徴

来派の刀は、特に太刀と短刀が多く見られ、まれに薙刀や剣も製作されました。一般的な特徴として、太刀は鎌倉中期から末期のスタイルで、身幅が広く反りが高いという点が挙げられます。反りの形状は、刃長の中ほどに反りの中心がある鳥居反りが典型ですが、一部には腰反りのものも見受けられます。短刀は、長さが既定の範囲内で重ね厚く、鋭い形状を持っています。

地鉄は、小板目が整って詰み、よく反映された地沸が見られることが特徴的です。特に、鍛えの弱い肌が現れることがあり、これを「来肌」と称します。刃文は基本的に直刃であり、時には小乱れや小丁子を加えたものもあります。

主な刀工の作風と作品

以下に主要な刀工の作風について述べます。

国行

国行は鎌倉時代中期の刀工で、主に太刀を製作しました。彼の刀は、腰反りの高い体配が特徴で、刃文には直刃と丁子乱れが見られます。特に国宝に指定された太刀は、幅広で反りが深い形状をしています。

国俊

国俊は国行の子とされ、作風には二字国俊と来国俊があります。二字国俊の刀は猪首切先が豪壮で、刀剣としての価値が高いとされています。

来国俊

来国俊の作刀には、細身で穏やかな形状のものが多く、乱れ刃や小丁子の穏健な作風が特徴的です。現存する作品には太刀や短刀が多く存在しています。

来国光

来国光は、来国俊の子とされ、刀の作風は豪壮でありながらも来派伝統の直刃が顕著です。太刀や短刀が多く、作刀は広範囲に及びます。

来国次

来国次は、来国光の子または弟子とされる刀工で、強い沸が特徴であり、地・刃共に相州伝の影響を受けています。

まとめ

来派は、日本刀の製作において重要な役割を果たした流派であり、その技術と美しさは多くの刀工を通して現代に受け継がれています。この流派の刀は日本の文化財として高く評価され、多くの人々に愛されています。

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