東レ パン・パシフィック・オープン・テニストーナメント

東レ パン・パシフィック・オープン・テニストーナメント

東レ パン・パシフィック・オープン・テニストーナメント（Toray Pan Pacific Open Tennis Tournament）は、日本で毎年10月に開催されるWTAツアーの一環であり、国内最大級の女子プロテニス大会とされています。通称は東レPPOテニスで、トーナメントのカテゴリーはWTA500に位置づけられています。

歴史

この大会は1973年からスタートした「東レシルックトーナメント」を前身としており、これが日本初の女子プロテニスサーキットとしての役割を果たしました。当初は東京12チャンネルで中継されていましたが、1984年には「東レ・パン・パシフィック・テニス」として生まれ変わり、TBSが放送局として選定されました。

開催時期について、初期の2回は年末の12月に行われており、その後何回かの時期変更を経て、1990年からはオーストラリアの全豪オープン終了直後の1月末から2月初頭に定着しました。大会のトーナメントカテゴリーは1992年までWTAティアIIに属していましたが、1993年にWTAティアIに昇格しました。

大会は東京体育館で開催されるのが基本ですが、その利用ができない場合には代々木第二体育館や湘南スポーツセンター、青山学院記念館など他の会場が使われることもあります。南半球での大会から北半球の東京に向かう際、選手たちには非常に厳しい日程調整が求められました。

さらに、この大会では使用された「東レ・スパックターフ」という人工芝コートが、世界一速いと言われる超高速のサーフェスとして注目を集めました。2007年には日本国内のテニス大会として初めてオンコート・コーチングが実施され、選手の戦略にまた新たな要素が加わることとなりました。

開催形式の変遷

2008年からのWTAの方針により、アジアでの大会は9月に集中して開催されることになりました。この結果、全米オープン終了後の9月中旬から下旬に開催されることとなり、会場も有明テニスの森公園に変更されました。また、2008年には国内初となるビデオ判定制度「ホーク・アイ」が導入され、テニスの公正な運営が強化されました。

2009年以降はトーナメントカテゴリーがWTAプレミア5（現:WTA1000）に昇格し、同じく有明テニスの森公園で開催される男子のジャパン・オープンのスケジュールに合わせるため、決勝戦の曜日が日曜日から土曜日に変更されました。2014年には大会がWTAツアーの日程から外される危機もありましたが、南カリフォルニア・オープンの権利を借りることで存続が決まり、開催週が1週早くなることとなりました。

2018年には東京オリンピックに向けた施設改修工事のため、アリーナ立川立飛や靱テニスセンターなど別の会場で開催され、2020年と2021年には新型コロナウイルスの影響で中止となりました。

優勝杯

優勝者へのトロフィーは日本らしい蒔絵が施された漆器の皿（シングルス）や羽子板（ダブルス）になっています。これにより、文化的価値も兼ね備えた贈呈品となっています。プレゼンターには東レのキャンペーンガールが選ばれることが特徴です。

放送情報

大会の放送はTBSを中心に、JNN系列の28局網で行われており、2008年まで週末の午後に1時間30分の録画放送があったほか、特番として特定の時間に集中することが多くありました。2017年からはBS-TBSで準決勝以降が生中継され、DAZNでも配信されるようになりました。2018年からはWOWOWが放映権を持ち、TBSでは録画放送となりました。

このように、東レ パン・パシフィック・オープン・テニストーナメントは、日本国内外から多くのトップ選手が集う重要なイベントとして、女子テニス界において欠かせない存在となっています。

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