東亜キネマ

東亜キネマ株式会社の歴史

東亜キネマ株式会社は、1923年に設立された日本の映画制作会社で、1932年には買収され消滅しました。兵庫県西宮市や京都府京都市に撮影所を構え、大正末期から昭和初期にかけて数多くのサイレント映画を製作・配給したことが特徴です。この会社は大正バブル期に、八千代生命が映画事業に参入する形で誕生しました。

設立の背景

大正12年（1923年）12月、八千代生命が兵庫県の甲陽キネマ撮影所を取得し、東亜キネマを設立しました。この時期は、同年9月1日に発生した関東大震災の影響を受け、在京の映画会社が京都に避難してくる中でのことでした。多くの映画関係者が新たに設立された撮影所に参集し、ここから新たな映画製作が始まりました。

マキノ映画の吸収とその後

1924年6月、東亜キネマは京都の牧野省三が運営する「マキノ映画製作所」を吸収し、等持院撮影所を設立しました。牧野はこの撮影所の所長となり、以降は現代劇や時代劇の制作が進められました。しかし、等持院撮影所内では、東亜派と旧マキノ派の対立が起こり、1925年には「東亜マキノ等持院撮影所」と改称され、牧野が所長を続けるものの、同年3月には失火により焼失してしまいます。

マキノ派の独立

失火後、牧野省三は東亜キネマを離れ、「マキノ・プロダクション」を設立します。この動きに呼応して、多くの映画関係者も新たな組織へと参加していきました。これにより、東亜キネマはマキノ派が去った後、これまでの制作体制を見直すことを余儀なくされます。以降、同社は「東亜キネマ京都撮影所」として新たなスタートを切りましたが、長続きすることはありませんでした。

経営の厳しさ

1929年には、親会社の八千代生命が映画製作から撤退し、これによって経営の厳しさが加速しました。1930年には阪急電鉄の小林一三が設立した「宝塚映画」との提携を進めましたが、状況は好転せず、3年後の1932年には「東活映画社」が設立され、再建を試みるも失敗します。

最終的な解散

1932年11月、東亜キネマはついに製作事業を断念し、「等持院撮影所」が閉鎖されることとなりました。その後、同年11月には、高村正次が東亜キネマを買収し新たな試みを始めますが、結局のところ、東亜キネマの9年間の歴史は幕を閉じることとなりました。閉鎖された撮影所は競売に付され、その後は住宅地として再開発されることになります。

まとめ

東亜キネマは日本映画の黎明期に多大な影響を与えた映画会社であり、「日本映画の父」と称される牧野省三などの重要な映画人を輩出しました。設立から消滅までの短い期間でしたが、その活動は一時期の日本映画の発展に寄与しました。

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