マキノ映画製作所

マキノ映画製作所の歴史と影響

概要

マキノ映画製作所（1923年設立、1924年合併）は、日本の映画史において特筆すべき独立制作会社でした。この会社は、1920年代初頭の日本映画界で独自の地位を築き、当時の大手映画会社に対抗する形で活動を展開しました。俳優出身の衣笠貞之助を監督として起用し、阪東妻三郎を主演に迎え、様々な若手作家や監督が次々にデビューを果たしました。このような多彩な人材の起用が、マキノ映画製作所を一時代の象徴的存在へと押し上げる要因となったのです。

設立の経緯

1923年の初頭、先駆的な映画監督である牧野省三は、「教育映画」を手掛けるミカド商会から独立し、マキノ映画製作所を設立しました。彼は、1919年に設立した「牧野教育映画製作所」を基に、より自由な制作環境を目指しました。しかし、日活からの圧力を受けた彼は、再び独立型の会社を立ち上げる決断を下しました。この背景には、日本映画産業の発展とその中での独立制作会社の重要性を強く認識していたことが挙げられます。

初期の成功と作品

設立当初、マキノ映画製作所は、毎週のように新作映画を上映するスケジュールを組みました。1923年6月には、「三好清海」や「弥次と北八 第一篇」、「二羽の小鳥」といった作品を公開し、観客から良好な反応を得ました。しかし、同年9月1日に発生した関東大震災は、映画制作や興行に大きな痛手を与えることになりました。

震災後、マキノは新たな劇場「成子不二館」を開設し、映画供給のラインを維持しました。さらに、「マキノキネマ株式会社」を設立し、直営館を持つことで、独立した企業体制を強化していきました。これにより、作品供給の安定性を確保し、復興後の映画業界においても存在感を示しました。

寿々喜多呂九平の台頭

マキノ映画製作所の脚本家として、寿々喜多呂九平が重要な役割を果たしました。彼は1922年に参加し、その後24本の脚本を手掛けてスター俳優を生み出しました。特に阪東妻三郎の名作は、彼の脚本によって一層の人気を博し、マキノ映画製作所の名を日本映画史に刻むこととなりました。この時期、二川文太郎や井上金太郎など、若手監督の起用も進められ、彼らもまた多くの優れた作品を生み出しました。

影響と遺産

1924年には東亜キネマとの合併を果たし、さらにはマキノ・プロダクションを設立するなど、マキノ映画製作所は独立した存在としての道を歩み続けました。彼らが残したフィルモグラフィには、今なお評価される作品が多く、また多くの新進気鋭の映画監督や脚本家の育成も行ってきたことから、後の日本映画界に大きな影響を与えました。

その後、マキノ映画製作所は1924年に統合され、単独の製作会社ではなくなりましたが、そのした施策や影響力は日本映画史において重要な役割を持ち続けています。

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