東亜酒造

株式会社東亜酒造（とうあしゅぞう）

埼玉県羽生市に拠点を置く日本の醸造企業です。日本酒、焼酎、合成清酒に加え、ウイスキーやリキュール類など、多岐にわたる酒類の製造販売を手がけています。

沿革

その歴史は古く、江戸時代初期の1625年（寛永2年）まで遡ります。現在の埼玉県秩父地方で「肥土（あくと）酒造本家」として創業し、日本酒造りを開始したのが始まりです。

第二次世界大戦中の1941年（昭和16年）に、現在の羽生市へと拠点を移し、会社として設立されました。

戦後間もない1946年（昭和21年）には、ウイスキー製造免許を取得。そして1948年（昭和23年）からは、自社ブランドであるウイスキー「ゴールデンホース」の製造販売を開始しました。当初はイギリスなどから輸入したモルト原酒を自社でブレンドし、樽詰めを行う形態でした。

1953年（昭和28年）には合成清酒の製造もラインナップに加えました。

1959年（昭和34年）に現在の社名である「株式会社東亜酒造」へと変更します。

1962年（昭和37年）にはウイスキー製造体制をさらに強化し、グレーン原酒の自社蒸留を開始、本格的な製造に移行しました。この年には焼酎の製造も開始したほか、リキュール類やスピリッツ類の製造販売も手がけるようになり、取り扱い品目を大きく広げました。

1970年（昭和45年）には、生活協同組合への酒類直販を目的とした協同組合を他の酒造会社と共同で組織しました。これは関東地方とその周辺地域を対象とし、統一銘柄である「虹の宴」を生産・供給する体制でした。

1980年（昭和55年）には、ウイスキーのモルト原酒を自社で蒸留するためにポットスチルを建造し、より多様なウイスキー製造に乗り出しました。

しかし、その後のウイスキー市場の低迷などにより、経営は厳しさを増します。2000年（平成12年）には民事再生法の適用を申請し、ウイスキー原酒を製造していた羽生蒸溜所の稼働を停止せざるを得なくなりました。

経営再建のため、2004年（平成16年）には日の出通商（現在の日の出ホールディングス）のグループ企業となりました。これにより創業家である肥土一族は経営から退き、ウイスキー事業は一時的に休止されました。

休止期間中に、かつて羽生蒸溜所で製造・貯蔵されていたウイスキー原酒の一部は、会社設立者の孫にあたる肥土伊知郎氏へ譲渡されました。これらの原酒は、肥土氏が設立したベンチャーウイスキーから「イチローズモルト」シリーズとしてリリースされ、国内外で高い評価を得ることとなります。

グループ入りを経て経営基盤を立て直した東亜酒造は、2016年（平成28年）にウイスキー事業を再開しました。現在はピュアモルトウイスキー「ゴールデンホース武蔵」やブレンデッドウイスキー「ゴールデンホース武州」などを展開しています。

2018年（平成30年）には、食品安全マネジメントシステムの国際規格である「FSSC22000」の認証を取得するなど、品質管理体制の強化にも積極的に取り組んでいます。

今後の取り組みとして、2021年2月にはかつてモルト原酒を蒸留していたポットスチルの図面に基づき、全く同じ仕様の新しいポットスチルを設置し、羽生蒸溜所でのモルトウイスキー自社蒸留を再開する計画が進められています。これは、「羽生」の名を冠するウイスキーの復活を目指すものです。

主な製品

日本酒: 「晴菊」「都ほまれ」「風雪男山」などの銘柄。
焼酎: 主に焼酎甲類を製造し、「スーパーセイカ」「風雪まろやか焼酎」などをラインナップ。
合成清酒: 「由縁の月」「舞扇」「みやこの四季」といった商品。
ウイスキー: 長い歴史を持つ「ゴールデンホース」シリーズが代表的。現在は「ゴールデンホース武蔵」「ゴールデンホース武州」などを販売。
リキュール・その他: 梅酒やあんず酒などを含む「蔵出しまろやかシリーズ」、風味ゆたかな麦仕立て、板さんの本みりんなど。

関連事項

キング醸造: 東亜酒造と同じく、日の出ホールディングスのグループに属する醸造会社です。
* ベンチャーウイスキー: 東亜酒造が一時保有していたウイスキー原酒の一部を譲り受けたことで知られる会社です。東亜酒造の旧経営陣関係者が設立しましたが、両社間に資本的なつながりはありません。

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