東京グランギニョル

東京グランギニョルは、1983年に鏨汽鏡（たがね・ききょう）と飴屋法水（あめや・のりみず）によって結成された劇団です。劇団名の由来は、フランスのグラン・ギニョール劇場にちなんでいます。

鏨汽鏡が脚本を、飴屋法水が演出、音響、美術を担当し、独特の世界観を創り上げました。舞台は、廃墟を思わせるようなセットが組まれ、反復する暴力的な音響が流れる中、学生服姿の少年たちが登場しました。その耽美的で退廃的な雰囲気は、どこか屈折した奇妙さを感じさせ、マニアックな層から高い評価を得ました。

舞台では、大量の血しぶきが飛び散るシーンが頻繁に登場しましたが、それは冷たく硬質な、時に乾いたシュールなギャグのように、あるいは甘く少女趣味的な設定の中で展開され、グロテスクさを回避する演出が特徴的でした。

俳優には、舞台未経験者が多く起用されました。嶋田久作はこの劇団で俳優としてのキャリアをスタートさせ、ポスター画を手がけた漫画家の丸尾末広（まるお・すえひろ）や、ミュージシャンの越美晴なども客演しています。

当時の演劇界の常識を覆すような試みも行いました。劇団員によるチケットノルマや、客席への招待席を廃止し、ぴあ誌上の紹介欄に舞台写真の掲載を拒否するなど、他の劇団とは一線を画していました。

1984年から1986年までの短い活動期間に、『マーキュロ』、『ガラチア帝都物語』、『ライチ光クラブ』、『ワルプルギス』の4作品を発表し、1986年に解散しました。

劇団解散後、スタッフや俳優の一部は、飴屋法水のプロジェクトであるBIS SEAL PISHOPやM.M.M.に参加しました。

2006年には、漫画家の古屋兎丸（ふるや・うさまる）が、東京グランギニョルの舞台『ライチ☆光クラブ』を原作とした同名の漫画を発表し、改めて劇団の存在が注目されました。

上演作品

マーキュロ（1984年、1985年）
ガラチア帝都物語（1985年 原作：荒俣宏）
ライチ光クラブ（1985年、1986年）
ワルプルギス（1986年）

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