東京コスモス電機

東京コスモス電機株式会社は、神奈川県座間市に本社を構える、東京証券取引所スタンダード市場に上場している電子部品メーカーです。一般的には、音量調節などに使われる可変抵抗器（ポテンショメータ）や、回路の微調整に用いられる半固定抵抗器（トリマポテンショメータ）のメーカーとしてその名が知られています。

しかし、同社の事業はこれに留まらず、長年培ってきた可変抵抗器の技術を応用した多様な製品を展開しています。特に自動車分野においては、スロットルバルブ開度センサー、アクセルペダル位置センサー、パワーステアリング角度センサーなど、様々な用途の車載用センサーを供給しており、自動車部品サプライヤーとしての側面も強く持っています。また、面状に発熱する特性を持つPTC面発熱フィルムヒータ「トーコスヒータ」も主要製品の一つであり、自動車のドアミラーの霜取りをはじめ、幅広い用途で利用されています。その他、非接触で位置を検出するセンサーや、業務用無線機などで使用されるエンコードスイッチなども製品ラインナップに含まれています。

東京コスモス電機の歴史は、1957年（昭和32年）の創業に始まります。創業間もない1959年には、通商産業省より電子工業振興の基本計画実施工場として推薦を受けるなど、その技術力が高く評価されました。1961年（昭和36年）には東京証券取引所第二部に上場を果たし、事業規模を拡大。主要製品である炭素系可変抵抗器がJIS規格に合格したのもこの年です。国内での生産体制強化も進められ、1970年（昭和45年）には東京事業所、1972年（昭和47年）には連結子会社である白河コスモス電機と会津コスモス電機が設立されました。また、特定の産業分野の要求に応える技術力も有しており、1974年（昭和49年）には防衛庁仕様への適合を果たしています。1970年代半ばからは自動車関連分野への本格的な参入を開始し、1976年（昭和51年）には自動車用電装品の量産を開始しました。

1980年代に入ると、新たな技術領域への挑戦も見られ、1981年（昭和56年）には通商産業省工業技術院から太陽電池の研究開発を委託されました。海外展開も積極的に行われ、1983年（昭和58年）にはアメリカ合衆国に初の海外現地法人、トーコス･アメリカを設立しました。国内では1984年（昭和59年）に中津コスモス電機が創業するとともに、現在も主要製品であるトーコスヒータの量産が始まりました。その後も台湾（1987年）、香港（2000年）と海外拠点を広げ、2007年（平成19年）には中国に生産工場を設立。2010年（平成22年）には中国・烟台に複数の現地法人を設立するなど、グローバルな生産・供給ネットワークを構築しています。中国の生産拠点である烟台科思摩思電機有限公司は、自動車産業向けの国際的な品質マネジメントシステム規格であるISO/TS16949認証を2014年（平成26年）に取得しており、自動車部品サプライヤーとしての品質保証体制を強化しています。経営面では、2014年に高橋秀実氏、2017年（平成29年）に岩崎美樹氏が代表取締役社長に就任しています。事業再編も行われ、2015年（平成27年）にはワイヤレス事業がモノワイヤレス株式会社として独立するなど、時代や市場の変化に応じた組織運営を行っています。

同社は、国内外に複数の製造拠点を有しています。国内の主要な生産子会社として、中津コスモス電機、会津コスモス電機、白河コスモス電機があります。海外においては、中国に烟台科思摩思電機有限公司、番禺旧水坑東高志電子廠、広州東高志電子有限公司といった生産拠点を展開しており、これによりグローバル市場への製品供給体制を確立しています。長年にわたり培ってきた技術力と、国内外の生産・供給体制により、東京コスモス電機は電子部品分野だけでなく、特に自動車関連分野において重要な役割を担っています。

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