東京ワイルズ

東京ワイルズは、東京都を本拠地とするプロアイスホッケーチームです。日本アイスホッケー連盟および東京都アイスホッケー連盟に加盟しています。チームの歴史は、前身である北海道ワイルズとして2023年に北海道釧路市で設立されたことに始まります。その後、2024年に現在の東京都へ活動拠点を移し、チーム名も東京ワイルズに改称されました。

チーム設立の背景と北海道での活動

東京ワイルズのルーツは、ひがし北海道クレインズという既存チームで発生した選手・スタッフへの給与未払い問題に遡ります。2023年5月、クレインズの監督であった齊藤毅氏が、長期間にわたる給与の遅延や未払い、そしてそれらに関するチームからの虚偽の説明があったことを理由に、釧路アイスホッケー連盟へ嘆願書を提出しました。これを受け、選手18名と複数のスタッフがクレインズとの契約を更新せず、新たなチームへの移籍意向を表明しました。

この動きを受けて、2023年5月10日に釧路を新たな本拠地とするアイスホッケークラブチームとして「北海道ワイルズ」が設立されました。クレインズを離脱した選手たちとの契約交渉を進めるとともに、スポンサー獲得に向けた活動も開始。最終的に、離脱した選手18名のうち、移籍または引退した2名を除く16名が北海道ワイルズに加入し、他の選手5名を加えた計21名体制で活動をスタートさせました。監督には、クレインズから移った齊藤氏が就任しました。

チームはアジアリーグアイスホッケーへの加入を目指し、2023年6月25日に加盟申請を行いました。しかし、リーグ側からは、ワイルズがクレインズの除名活動と無関係であることの証明、釧路を拠点とする場合の既存チーム（事実上破綻状態にあったクレインズ）との調整方法、そしてホームリンクの明記といった情報の補足が必要であるとの見解が示され、これらが満たされれば2024-2025シーズンの加盟申請として受理される旨が通達されました。結局、2023年シーズンからのアジアリーグ参加は実現せず、釧路市や連盟の間では、ワイルズでもクレインズでもない第三のチーム設立によるリーグ参入構想も浮上しましたが、方向性の不透明さなどから選手たちの間には複雑な心境が見られました。

チームは設立後、中央大学との初対外試合で勝利を収め、公式マスコットも発表。横浜GRITSとの交流戦も実施しました。また、釧路アイスホッケー連盟や釧路市は、ワイルズの翌シーズンのアジアリーグ加盟に向けた支援方針をリーグ側に伝えるなどの動きも見られました。2023年10月には、日本アイスホッケー連盟の推薦により、全日本アイスホッケー選手権大会への参加が決定しました。

しかし、年末にかけてアジアリーグ加盟申請の期限が迫る中、チームの体制変更が行われ、山田謙治氏が代表取締役を退任し、岡本博司氏が後任に就任しました。そして、2023年12月下旬、北海道ワイルズはアジアリーグへの加盟を辞退することを発表しました。

東京への移転と現在の状況

アジアリーグ加盟を断念した理由については、2024年1月に行われた記者会見で明らかにされました。そこでは、全日本選手権の場でアジアリーグ加盟チーム関係者から「あなたたちはアジアリーグを批判する勢力であり、加盟は絶対に認めない」という趣旨の発言があったこと、また、釧路市からも「アジアリーグに加盟していないあなた方は実業団に過ぎない」とチームを否定する発言があり、地元からの支援が見込めなくなったことが説明されました。これらの状況を受け、チームは2024年5月を目途に活動拠点を東京へ移転する方針を表明し、新リーグ設立も視野に入れていることを明かしました。

北海道ワイルズとしての最後の試合は、2024年3月に新横浜スケートセンターで行われたGRITS戦でした。その後、2024年3月15日には、新たに発足するIJリーグへの参戦が発表されました。この際、IJリーグ側からは「東京ワイルズ」としての参加がアナウンスされましたが、チーム側は改めて詳細を発表するとしていました。

2024年3月29日、チーム名は正式に「東京ワイルズ」に変更されました。東京への移転後、6月3日には東大和スケートセンターで初の氷上練習を実施。そして、6月15日には名古屋オルクスとの間でIJリーグ開幕戦を戦いました。同年6月27日には、日本アイスホッケー連盟への登録も完了しました。

しかしながら、2024年9月12日、IJリーグとしての活動終了が発表され、チームの今後の活動については新たな展開が待たれています。

現在のチーム体制（2024年8月12日時点の情報に基づく）は、代表取締役が岡本博司氏、ゼネラルマネージャー（GM）が篠原秀則氏、そして監督は設立当初からの齊藤毅氏が務めています。

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