東京二十三区女

東京二十三区女

長江俊和による小説『東京二十三区女』は、東京二十三区それぞれを舞台にしたホラーミステリー作品です。2016年に幻冬舎から書き下ろしで刊行され、後に文庫化。2019年には続編『東京二十三区女 あの女は誰？』も発表されました。また、WOWOWでテレビドラマ化もされています。

あらすじ

フリーライターの原田璃々子は、民俗学に詳しい先輩・島野仁と共に、雑誌の企画で東京二十三区の恐怖スポットを取材しています。しかし、その裏には璃々子自身の抱える問題の解決という目的がありました。取材を通して、二人は各区にまつわる恐ろしい過去や伝承に触れていきます。

板橋区では高島平団地の自殺の名所を訪れ、縁切榎に隠された夫婦の秘密を知ります。渋谷区では、渋谷川の暗渠に消えた母を追う男の物語が展開されます。港区では、成功したIT企業社長がタクシーで迷走するうちに、自身の心の闇と向き合うことになります。江東区では、夢の島を舞台にした愛憎劇が繰り広げられ、品川区では、連続して起こる事件の真相に迫ります。

誰もが知る東京の街を舞台に、人間の心の奥底に潜む狂気や悲しみが描かれていきます。各区にまつわるエピソードは独立していますが、全体を通して、璃々子の抱える問題が徐々に明らかになり、物語は核心へと向かっていきます。

登場人物

原田璃々子: フリーライター。霊感があり、東京二十三区の恐怖スポットを取材する裏で、自身の問題を解決しようとしている。
島野仁: 民俗学の講師。璃々子の取材に同行する。東京の歴史や伝承に詳しい。
各区の女たち: それぞれのエピソードに登場するキーパーソンとなる女性たち。彼女たちの過去や抱える問題が、物語を大きく動かしていきます。
板橋区の女：薫 - 夫の浮気を疑い「縁切榎」に通う夫を尾行する。
渋谷区の女：工藤カスミ - 息子が10歳の時に夫を殺害し逮捕。その後失踪する。
港区の女：乾希恵 - ファッションデザイナー。タクシー運転手に翻弄される夫を支える。
江東区の女：伸子 - 料亭の仲居。主人の史郎と不倫関係になり、悲劇を招く。
品川区の女：藤川奈緒 - IT企業勤務。事件に巻き込まれる。

書籍情報

単行本：幻冬舎、2016年9月8日発行、ISBN 978-4-344-02993-4
文庫：幻冬舎文庫、2018年10月10日発行、ISBN 978-4-344-42794-5
続編：『東京二十三区女 あの女は誰？』幻冬舎文庫、2019年5月1日発行、ISBN 978-4-344-42864-5

テレビドラマ

WOWOWでドラマ化。長江俊和自身が原作・脚本・監督を務めました。各話ごとに異なる区を舞台にした一話完結のホラーミステリーで、原作にはない豊島区編も追加されています。

放送：2019年4月12日より毎週金曜日深夜0時
* 出演：島崎遥香、岡山天音 ほか

『東京二十三区女』は、東京という大都市の影に潜む恐怖と、人間の心の闇を描き出した作品です。小説、ドラマを通して、その世界観を体験してみてはいかがでしょうか。

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