東京土地

東京土地株式会社について

東京土地株式会社は、1912年（大正元年）10月に設立された、かつて東京府東京市（現在の東京都）に存在した不動産会社です。その事業目的は多岐にわたり、不動産の所有、経営、売買、埋立事業から、不動産抵当貸付、委託金貸付、不動産売買の仲介、不動産管理、整理監督など、幅広い業務を手掛けていました。

設立と事業内容

設立当初の資本金は150万円または500万円とされ、本社所在地は東京市牛込区市谷台町（現在の東京都新宿区）または東京市日本橋区本町四丁目（現在の東京都中央区日本橋本町）に置かれていました。東京出張所は麹町区の丸ビル内にありました。特筆すべきは、市ヶ谷監獄の跡地を払い下げを受け、そこに多数の貸家を建設して賃貸したり、土地そのものを貸し付けたりしていた点です。この事業は、当時の東京における住宅需要に応える重要な役割を果たしたと考えられます。

役員構成の変遷

東京土地株式会社の役員構成は、設立から解散までの間に何度か変更されています。

初期（第19版）：社長に前川太兵衛、専務取締役に広部清兵衛が就任。その他、河合徳兵衛、中村茂八、野島泰治郎、野本傳七、佐久間定吉（支配人）、高橋熊三、中島伊平、江守善六が役員として名を連ねています。
中期（第20版〜第24版）：取締役は、広部清兵衛、滝沢吉三郎、黒川庄次郎、小宮勇三郎などが務め、監査役には高橋熊三、中島伊平、丸山名政、渡瀬寅次郎などがいました。専務取締役は、黒川庄次郎や高橋熊三が務めていました。
後期（第26版〜第30版）：取締役には広部清兵衛、前川太兵衛、堤康次郎、永井外吉、福室郷次、藤間信雄などが就任し、監査役には河合徳兵衛、福室郷次、小高義一、吉岡栄蔵などがいました。常務取締役には、福室郷次、永井外吉、小高義一が名を連ねています。また、第36回では、畔上鋭、上林基樹が取締役に加わりました。

大株主の変遷

大株主の構成もまた、会社の歴史とともに変動しています。初期には江守宇多、宮田勝、上村乙吉、三輪吉太郎、広部清兵衛などが名を連ねていましたが、徐々に広部清兵衛、河合房三郎、高木益太郎、反町常次郎、河合徳兵衛、安居憲一郎、江守善六などの個人投資家が中心となっていきました。その後、広部銀行や反町合名会社、堤康次郎、塚本金兵衛、川島與右衛門などが大株主として登場し、特に広部銀行が大きな影響力を持つようになりました。

参考文献

本稿の作成にあたっては、以下の文献を参照しました。

興業通信社編『銀行会社職員録 第2版』
東京興信所編『銀行会社要録 附・役員録』各版（第18版〜第30版）
鈴木八郎『株式短評』
* 商業興信所編『日本全国諸会社役員録 第36回』

これらの資料から、東京土地株式会社の設立から解散までの事業内容、役員構成、株主構成の変遷を読み取ることができます。東京土地株式会社は、当時の東京における不動産市場の一翼を担い、都市開発にも貢献した企業であったと言えるでしょう。

まとめ

東京土地株式会社は、大正時代に設立された不動産会社であり、不動産事業を通じて東京の発展に貢献しました。その経営は、役員や株主の変遷とともに時代を反映しており、当時の経済状況や社会情勢を理解する上で重要な手がかりとなります。東京土地株式会社の歴史は、日本の不動産市場の変遷を考察する上で、貴重な事例の一つと言えるでしょう。

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