東京大学大学院理学系研究科附属臨海実験所

東京大学大学院理学系研究科附属臨海実験所について

東京大学大学院理学系研究科附属臨海実験所、通称「三崎臨海実験所」は、神奈川県三浦市三崎町に位置する東京大学の附属研究所です。1886年（明治19年）に日本で最初の臨海実験所として創設され、1897年（明治30年）に現在の油壺に移転しました。130年以上の歴史を持ち、海洋生物学研究の重要な拠点として、国内外の研究者から注目されています。

豊かな自然環境

三浦半島の南西端、油壺湾と諸磯湾の入口に位置する実験所周辺は、多様な海洋生物が生息する豊かな環境です。この地域で確認されている動物種は500種を超え、基礎生物学の研究や教育にとって貴重な場所となっています。

歴史と業績

実験所は、東京帝国大学（現東京大学）の動物学教授であった箕作佳吉によって創設されました。当初は木造の研究棟でしたが、その後、研究設備の拡充が進められました。世界に先駆けて設立された基礎生物学の研究教育施設として、遺伝学や細胞生物学など、多岐にわたる分野で数々の業績を上げています。1993年には新しい実験研究棟が完成し、より高度な研究活動を支えています。

研究活動と設備

現在、実験所では海洋生物の調査、研究だけでなく、水深1,000メートルまでの深海生物を調査できる「臨海丸」などの設備も整っています。研究活動は多岐にわたり、海洋生物の生態、進化、生理機能など、様々な側面から研究が行われています。

教育活動

三崎臨海実験所は、東京大学の理学部生物学科、教養学部、農学部の学生実習に利用されているほか、他大学の学生も参加できる公開実習も行われています。また、大学院生の研究指導も行っており、次世代の研究者育成にも貢献しています。

一般公開と社会貢献

かつては付属の水族館がありましたが、1971年に閉鎖されました。しかし、2013年には標本を展示する海洋教育展示室が開設され、一般公開も行われることがあります。実験所は、海洋生物学の研究拠点としてだけでなく、一般市民向けの啓蒙活動の拠点としても重要な役割を果たしています。また、2000年には高校生の学習の場として施設の一部が解放されました。

施設とアクセス

実験所の所在地は、神奈川県三浦市三崎町小網代1024です。京急久里浜線三崎口駅からバスで油壺行きに乗り、終点から徒歩5分ほどの場所にあります。施設内には、研究棟、実験室、潜水作業棟など、研究や教育に必要な設備が整っています。近年では、桟橋の改良や潜水作業棟の整備も行われ、より安全で快適な研究環境が提供されています。

まとめ

東京大学大学院理学系研究科附属臨海実験所は、日本における海洋生物学研究の先駆けとして、130年以上の歴史を持つ重要な研究施設です。豊かな自然環境を活かした研究活動、次世代を担う研究者の育成、そして一般市民向けの啓蒙活動を通して、社会に貢献し続けています。

関連情報

東京大学大気海洋研究所: 海洋研究における協力関係のある研究所です。
青木熊吉: 実験所の設立に貢献した人物の一人です。

外部リンク

* 東京大学三崎臨海実験所

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