油壺

油壺（あぶらつぼ）

神奈川県三浦半島の南端に位置する油壺は、美しい湾（油壺湾）とその周辺地域を指す地名です。三浦市三崎町小網代の一部にあり、古くから観光地や別荘地として親しまれてきました。また、日本の標高を決める基準となる日本水準原点の標高を検定するための、国土地理院の油壺験潮場があることでも知られています。

由来

油壺という地名の由来には、悲しい歴史が背景にあります。戦国時代、この地の新井城に籠もった三浦一族は、北条早雲の大軍に対して3年間も勇敢に戦い続けました。しかし、1516年（永正13年）についに三浦義同（道寸）をはじめとする将兵は討ち死にし、残された者たちは湾に身を投げたと言われています。その際、湾一面が血で染まり、まるで油が流れているように見えたことから、「油壺」と呼ばれるようになったと伝えられています。また、湾内の水面が油を流したように静かであったという説もあります。

旧跡・観光スポット

油壺周辺は、豊かな自然と歴史に触れることができる場所です。

ハイキングコース: 新井城址や三浦道寸の墓など、三浦一族の歴史を感じられるハイキングコースが整備されています。
道寸祭り: 毎年5月最終日曜日には、かつての三浦一族を偲び、道寸祭り（供養祭・笠懸）が開催されます。
水族館・植物園: 家族連れやカップルにも人気のスポットです。
ヨットハーバー: 海上レジャーを楽しむ人々で賑わいます。

施設等

ホテル京急油壺 観潮荘: 油壺湾を一望できるホテルです。
油壺温泉: 旅の疲れを癒す温泉施設があります。
荒井浜海水浴場・横堀海水浴場: 夏には多くの海水浴客で賑わいます。
三浦道寸墓: 三浦一族の悲劇を伝える史跡です。
東京大学三崎臨海実験所: 海洋生物の研究施設です。
東京大学地震研究所 地震地殻変動観測センター 油壺地殻変動観測所: 地震観測のための施設です。
国土地理院油壺験潮場: 日本の標高を決める上で重要な施設です。

交通

鉄道・バス: 京急久里浜線三崎口駅から京浜急行バスに乗り換え、終点油壺停留所で下車します。

かつては、三崎観光によって城ヶ島と油壺を結ぶ定期観光船が運航されていましたが、2007年12月15日に休航となりました。

また、京急久里浜線を三崎口から油壺まで延伸する計画がありましたが、沿線人口の減少などを理由に、2016年3月16日に延伸事業は凍結され、事実上白紙となりました。

油壺は、歴史、自然、レジャーが融合した魅力的な場所です。ぜひ一度訪れて、その魅力を体験してください。

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