東京市街鉄道1001形電車

東京市街鉄道1001形電車の概要と歴史

東京市街鉄道1001形電車は、1906年に登場した東京の路面電車です。この電車は、東京市電の前身である東京市街鉄道によって製造され、当時の交通事情において重要な役割を果たしました。1001形は木造ボギー車として、大塚工場で100両が製造され、これにより東京市内の交通網が拡張されていきました。

車両の特徴

1001形電車は、モニタールーフとオープンデッキを持ち、当時の典型的なデザインを採用しています。基本的に、四輪単車の251形の車体を基にして延長した形状をしています。製造当初、この車両はブリル22Eマキシマム・トラクション台車を備えており、その後ブリル76EやD4形に交換されることがありました。電装品にはゼネラル・エレクトリック社製の制御装置が用いられ、主電動機は各台車に1基搭載されていて、出力は26.1kWです。集電装置にはトロリーポールが利用され、架空複線式に対応した設計が施されています。

歴史と沿革

1906年に街鉄1001形として製造がスタートし、同年中に東京電車鉄道、東京電気鉄道との合併に伴い、東京鉄道が誕生しました。この結果、最初の61両（番号1001～1061）は街鉄時代に製造され、1062～1100番の39両は東京鉄道発足後に完成しました。1911年には市営化され、東京市電気局に引き継がれましたが、その際も元の番号が維持されました。ただし、「ボギーのホ」、「東京市街鉄道のシ」という名称から「ホシ形」という通称が定着しました。

老朽化した車両については、車体の全面更新がされることはありませんでしたが、ベスチビュール（前面窓）の設置や台車の交換は行われるようになりました。

1923年の関東大震災では、58両が焼失したことが大きな打撃となり、その後も火災などで13両が失われました。震災後の1925年には、欠番の多くなった車両番号の整理が進む中で、1001形は1101形とともに1900形に改番される計画がありましたが、実際にはこの改番は行われず、1927年までに全車が廃車となりました。残念ながら、他社に譲渡されたり保存された車両は存在していません。

まとめ

このように、東京市街鉄道1001形電車は早い段階から東京の交通網を支えた重要な車両でした。しかし、その生涯は短く、記録に残るような保存車両が存在しないことは、歴史の中で埋もれてしまった貴重な存在であることを思わせます。

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