東京市電気局1000形電車

東京市電気局1000形電車について

東京市電気局1000形電車は、後に東京都交通局に引き継がれた路面電車の一部であり、1932年から1936年にかけて製造されました。この電車は全長10メートルの小型ボギー車で、合計130両が作られ、主に市内の路面を走行していました。古い木製車両から流用された台車や電装品を使用しつつ、新しい車体が設計されたため、特徴的な外観を備えています。

製造仕様と特徴

1000形電車は、製造された年代によっていくつかのバリエーションが存在します。1933年までに完成した1001から1040号までの40両は、客扉のステップが1段で、その上辺は側窓よりも高い位置にあります。続いて、1934年から1935年にかけて登場した1041から1085号までは、2段ステップに改良され、客扉上辺と側窓の高さが揃えられました。最後に、1935年から1936年にかけて登場した1086から1130号は、前面が傾斜し雨樋が曲線状に設計されています。このような外観上の違いは、その製造時期を反映しています。

戦時中およびその後の変遷

1942年には、旧式の車両の中から7両が満洲国に譲渡されましたが、戦災によって多くの車両が焼失しました。その後、戦後に復旧された車両もあり、1948年の改番によって、様々な車両が新しい番号に振り分けられました。最終的には62両が残され、これが東京都交通局の主力車両として活躍しました。

1954年には9両が7000形に更新改造され、1955年には1016号が車体延長されて1300形電車に改造されています。このような改良により、1000形は運用の面で効率が向上しました。1964年以降、廃車が進み、1967年には全ての車両が廃車となったものの、その中の一両は客車として改造され、羽後交通に譲渡されました。

保存状況

廃車後、いくつかの車両は公園や幼稚園の遊具として再利用されるなど、各地で保存されている姿が見られました。特に、1028号は日野市に譲渡され、図書館として利用されていました。しかし、2000年代には保存された車両はほとんど確認されておらず、最後の残存車とも思われた1017号も撤去されてしまいました。

1100形および1300形

1000形の中で、旧1086から1130号の残存車は形状が異なるため、1100形として改番されました。運用面は1000形と同様で、1100形も1967年には消滅しました。一方、1300形は、1000形と1100形から改造された試作車両で、車体を延長することでコストダウンが図られ、実用的な設計として評価されました。

これらの車両は、東京都の運輸史において重要な位置を占めており、その技術的進化や運用の変遷は、当時の交通事情を物語っています。

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