東京新宿ベジフル

東京新宿ベジフル（とうきょうしんじゅくベジフル）は、東京都新宿区に本社を置く青果物の卸売業者です。東京都中央卸売市場の一つである淀橋市場において、入場卸売業者として重要な役割を果たしています。本社機能を淀橋市場内に置くほか、地方卸売市場の練馬市場に練馬支店、埼玉県川越市の川越市場に川越支店を展開しています。さらに、世田谷市場には子会社である東京新宿ベジフル世田谷株式会社を置き、各拠点で青果物の卸売事業を手掛けています。

設立経緯

東京新宿ベジフルは、2005年に淀橋市場で長年青果卸売業を営んできた二つの老舗企業、東京新宿青果株式会社と東京淀橋青果株式会社が、それぞれの事業部門を統合し、共同新設分割方式で新たに設立された会社です。統合前の両社は、1939年2月に淀橋市場が開場した当初から事業を行っており、その歴史は市場とともに歩んできました。事業統合後も、旧事業会社である東京新宿青果株式会社と東京淀橋青果株式会社は法人として存続しており、東京新宿ベジフル株式会社の持株会社としての機能や不動産管理業務などを担っています。特に東京新宿青果株式会社は、地方卸売市場である練馬市場（正式名称：東京都練馬青果地方卸売市場、愛称：べじふるセンター練馬）の開設者としての業務も行っています。

事業の特徴と拠点展開

同社は、新宿およびその周辺地域の発展、特に繁華街や歓楽街における高級果実の高い需要を背景に、果実の卸売販売において豊富な実績と強みを持っています。全国各地から青果物を委託販売および買付販売の形で仕入れて流通させており、一部は輸入品も取り扱っています。東京中央卸売市場における青果物の取扱高では、大田市場、豊洲市場に次ぐ第3位の規模を誇る淀橋市場の中核を担う存在です。

主要な事業拠点として、淀橋市場の本社のほか、以下の支店および子会社があります。

練馬支店: 東京都練馬区の東京都練馬青果地方卸売市場（べじふるセンター練馬）にあり、野菜、果物、加工品全般の卸売を行っています。
川越支店: 埼玉県川越市の埼玉川越総合地方卸売市場内にあります。この支店は、かつて子会社であった川越ベジフル株式会社が2016年に営業停止した際、その事業を引き継ぐ形で開設されました。野菜、果物、加工品全般を取り扱っています。
東京新宿ベジフル世田谷株式会社: 東京都中央卸売市場世田谷市場で青果物卸売業務を担う子会社です。この法人の設立にはやや複雑な経緯があります。かつて卸売業務を行っていた松原分場が2008年に閉場し、世田谷市場に統合された際、世田谷市場の既存業者であった東京荏原青果株式会社（本社は大田市場）と共同出資で「東京荏原ベジフル株式会社」を設立しました。しかし、2019年に東京荏原青果株式会社が保有する全株式を東京新宿ベジフル株式会社に譲渡し資本撤退したため、東京新宿ベジフルの100%出資子会社となり、現在の商号に変更されました。

グループ会社としては、青果物や食料品、花きの販売を行うベジフルフード株式会社なども有しています。

沿革

1939年（昭和14年）9月 - 淀橋市場開場に伴い、前身の東京新宿青果株式会社と東京淀橋青果株式会社が営業を開始しました。
2005年（平成17年）6月 - 両社の事業統合により、東京新宿ベジフル株式会社が設立され、業務が始まりました。
2007年（平成19年）6月 - 淀橋市場の卸売場棟1階に低温売場が完成しました。
2009年（平成21年）5月 - ベジフルフード株式会社を100%出資子会社としました。
2009年（平成21年）10月 - 練馬市場にベジフル練馬総合卸売センター（現練馬支店）を開設しました。
2013年（平成25年）8月 - 大型冷蔵施設が完成しました。
2015年（平成27年）7月 - 卸売場棟2階の低温売場が完成しました。
2016年（平成28年）4月 - 川越支店を開設しました。
2019年（令和元年）4月 - 東京新宿ベジフル世田谷株式会社（世田谷市場支社）を開設しました。
2019年（令和元年）9月 - 卸売場棟1階に中央冷蔵庫が完成しました。
2021年（令和3年）5月 - 卸売場棟1階に北冷蔵庫が完成しました。

このように、東京新宿ベジフルは淀橋市場を拠点としつつ、都内および近隣県の主要な市場に事業を展開することで、青果物の安定供給と流通を支えています。

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