東京機械製作所

株式会社東京機械製作所（とうきょうきかいせいさくしょ）は、東京都港区に本社を構える機械メーカーです。創業以来、輪転印刷機の製造を主力事業として発展してきましたが、近年では無人搬送車（AGV）を中心としたファクトリーオートメーション事業や、各種産業向けの加工組立事業に注力しています。「TKS」のブランド名で知られ、特に新聞輪転印刷機の分野においては、日本国内でトップシェアを誇ります。

歴史

その起源は、明治初期に内務省によって開設された農機具工場に遡ります。以下に、その詳細な歴史を記します。

1874年（明治7年）: 内務省勧業寮農務課が、東京の内藤新宿試験場内に農機具工場を設置。これが東京機械製作所のルーツとなります。
1879年（明治12年）: 内藤新宿試験場が廃止され、農機具製造部門は三田育種場に引き継がれます。現在の新宿御苑は、この試験場の一部でした。
1880年（明治13年）: 三田育種場から農機具製造部門が独立し、「三田農具製作所」として新たにスタートします。
1888年（明治21年）: 三田農具製作所が民間に払い下げられ、読売新聞の初代社長である子安峻らが経営を引き継ぎます。
1889年（明治22年）: 「三田機械製作所」と社名を変更し、農機具の製造に加え、ボイラー、ポンプ、タービン水車などの製造も開始します。
明治時代: 鉄道車両の製造にも進出しますが、日清戦争後の不況により撤退を余儀なくされます。その後、印刷機械や煙草製造機械の製造に活路を見出します。
近年: 輪転機に加え、インクジェット方式の印刷機も製造しています。

2024年（令和6年）には、三菱重工業が新聞輪転機製造事業から撤退したことにより、東京機械製作所が主要な新聞輪転機製造会社として注目されています。ただし、西研グラフィックスも新聞輪転機製造を手がけているため、唯一の製造会社というわけではありません。

沿革

1874年（明治7年）: 内務省勧業寮農務課工場が創業。
1879年（明治12年）: 三田四国町の三田育種場へ移転。
1880年（明治13年）: 三田育種場から分離独立し、三田農具製作所と改称。
1888年（明治21年）: 三田農具製作所が子安峻らに払い下げられ、民営化。
1889年（明治22年）: 三田機械製作所と改称し、各種農機具、鉄道馬車などを製作。
1893年（明治26年）: 東京機械製造株式会社と商号変更し、鉄道車両、蒸気機械、煙草製造機、理化学器械などを製造。
1906年（明治39年）: 国内メーカーとして初の輪転機を完成。
1911年（明治44年）: 株式会社東京機械製作所と商号変更。
1949年（昭和24年）: 東京証券取引所、大阪証券取引所上場。
1985年（昭和60年）: 玉川製造所技術センターと本社ビル竣工。
2004年（平成16年）: ハマダ印刷機械株式会社の輪転機事業を買収し、三重県伊賀市に株式会社伊賀マシナリーを設立。
2006年（平成18年）: 伊賀市に伊賀工場が竣工。2008年に伊賀テクノセンターと改称。
2010年（平成22年）: 大阪証券取引所上場廃止。
2011年（平成23年）: 生産拠点を玉川製造所から、千葉県木更津市内の工業団地「かずさアカデミアパーク」内に竣工した「かずさテクノセンター」に移転。玉川製造所の跡地は再開発され、複合商業施設（グランツリー武蔵小杉）と超高層マンション（シティタワー武蔵小杉）が建設。
2012年（平成24年）: 伊賀テクノセンターを閉鎖し、その業務を伊賀マシナリーが継承。
2014年（平成26年）: 伊賀マシナリーを解散。
2020年（令和2年）: 本社を東京都港区三田へ移転。

2021年の投資ファンドによる株の買い集め行為

2021年（令和3年）には、投資会社アジア開発キャピタル（ADC）による株式の買い集めが表面化しました。これに対し、東京機械製作所は買収防衛策を発動し、最終的にはADCが保有株の一部を読売新聞グループ本社などの新聞社に譲渡することで、敵対的買収を回避しました。

その後、東京機械製作所はADCに対し、短期売買による利益の返還を求めて提訴し、東京地裁、東京高裁ともに東京機械製作所の主張を全面的に認め、ADCに約19億4000万円の支払いを命じました。

主力製品

新聞用・商業用輪転機
新聞発送システム
AGV（無人搬送車）

事務所

本社：東京都港区三田
関西営業所：大阪市西淀川区
かずさテクノセンター：千葉県木更津市
* 羽田テクノセンター：東京都大田区

エピソード

現在の代表取締役社長・都並清史は、元サッカー日本代表である都並敏史の兄であり、ビブラストーンの元トランペッターでもあります。

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