東京第一陸軍造兵廠

東京第一陸軍造兵廠について

東京第一陸軍造兵廠、通称「一造」は、大日本帝国陸軍の重要な兵器製造施設として、明治時代から昭和初期にかけて存在しました。本部は東京都北区下十条町に位置しており、埼玉県には川越製造所などの附属工場も設けられていました。

成り立ちと歴史

東京第一陸軍造兵廠は、1901年に小石川から十条に火具製造所が移転したことから始まります。1923年の関東大震災後、東京工廠の一部が小倉に移転し、十条火工廠から製造所が分離され、新たに東京工廠が設立されました。1940年には組織改編が行われ、正式名称を東京第一陸軍造兵廠としました。

この造兵廠の運営には、杉浦辰雄少将が1940年から終戦までの間、廠長として関与しました。造兵廠自体は、第一・第二・第三製造所から構成されており、東京府内での兵器製造を支える重要な拠点となりました。

戦後の変遷

戦後、造兵廠は占領軍に接収され、東京兵器補給廠第4地区に転用されました。しかし、1945年5月25日の第三次東京大空襲で多くの施設が焼失してしまいました。焼け残った本部事務所はその後、TODの保安司令部として使われ、さらに1968年には在日米軍のキャンプ王子となりました。この土地は1971年に日本に返還され、1981年には北区文化センターが開館しました。

現在、かつての工場跡地には北区立中央公園が広がり、その北側には十条駐屯地が設けられています。また、第一製造所の一部は残されており、北区立中央図書館として利用されています。レンガで築かれた隣接する壁は、当時の名残を感じさせるもので、学校の敷地内にもその一部が残されています。

製造所の分布

東京第一陸軍造兵廠は、川越製造所や小杉製造所、大宮製造所といった関連工場を持っていました。特に川越製造所は、東京第一陸軍造兵廠の拡張に伴い設立され、後に都市化が進む地域の発展に寄与しました。現在、川越製造所跡地には商業施設イオンタウンふじみ野が展開されています。

現在の状況と記憶

今日、東京第一陸軍造兵廠の遺構や関連施設は、地域の歴史の一部として保護されています。例えば、ふじみ野市立上福岡歴史民俗資料館には、川越製造所の模型が展示されており、当時の製造業の様子を知ることができます。また、東京都北区内には、戦後の日本の陸軍の歴史を語る上で欠かせない遺産も多く残っており、コミュニティの中で記憶と認識が共有されています。

このように、東京第一陸軍造兵廠は、軍事と地域の歴史、さらには都市発展に大きな影響を与えた施設として、現代においてもその足跡を辿ることができます。

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