東京兵器補給廠

東京兵器補給廠（TOD）とは

東京兵器補給廠（とうきょうへいきほきゅうしょう、英語: Tokyo Ordnance Depot, TOD）は、かつて東京都北区と板橋区に存在した旧日本軍の用地です。第二次世界大戦後、この地はアメリカ軍に接収され、重要な軍事拠点として利用されました。本稿では、敗戦後の変遷に焦点を当て、その歴史と現在の状況を詳細に解説します。

概要

TODは、現在の北区と板橋区にまたがる広大なエリアに位置していました。大きく分けて東京兵器補給廠地区と東京造兵廠地区の2つに区分され、それぞれがさらに複数の地区に分かれていました。これらの施設は、戦前は大日本帝国陸軍の施設でしたが、終戦後、アメリカ軍によって接収されました。

1958年12月23日、東京兵器補給廠地区の一部は陸上自衛隊十条駐屯地として再編されました。一方、東京造兵廠地区は1971年10月15日に日本へ返還されました。

サンフランシスコ平和条約（1951年締結、1952年発効）により、連合国軍は条約発効後90日以内の撤退が定められていましたが、接収地に関しては外務省告示によって無期限使用施設とされました。しかし、高度経済成長に伴う都市化の進展や、ベトナム戦争に対する反戦運動の高まりなどを受け、米軍施設の集約移転が日米間で合意され、TODの未返還地区についても返還されることとなりました。

各地区の詳細

CIC

戦前は砲兵工科学校分校、その後は東京第二陸軍造兵廠板橋製造所として使用されていました。返還後は板橋区立板橋第五中学校となり、現在は板橋区板橋4丁目に位置しています。

TOD第1地区

米軍兵器補給廠が設置され、戦前は東京陸軍兵器補給廠でした。返還後は中小企業信用保険公庫宿舎、警視庁宿舎、陸上自衛隊十条駐屯地赤羽地区の一部となっています。現在の板橋区清水町・北区西が丘3丁目に位置します。

TOD第2地区

米軍戦車練習場として使用されていました。返還後は陸上自衛隊十条駐屯地赤羽地区の一部となり、その後、赤羽自然観察公園、赤羽スポーツの森公園、ナショナルトレーニングセンター陸上競技場となりました。現在の北区赤羽西5丁目に位置します。

TOD第3地区

赤羽ハイツ（米軍住宅）が設置されていました。戦前は陸軍被服本廠でした。返還後、公団赤羽台団地、北区立赤羽台中学校、北区立赤羽台西小学校、北区立赤羽台東小学校となりました。現在の赤羽台1丁目、2丁目に位置します。

TOD第4地区

極東陸軍地図局、第29工兵大隊が設置されていました。戦前は銃包製造所、戦中は東京第一陸軍造兵廠十条工場でした。1958年に北側の一部が返還された後、1961年よりキャンプ王子と呼称されました。1966年に部隊がハワイに移転し閉鎖されましたが、返還されず、1968年にベトナム戦争開戦のため、米陸軍王子病院（王子野戦病院）が開設されました。1969年12月に病院は閉鎖され、返還後は東京都北区立中央公園、十条駐屯地、東京成徳短期大学、官舎などとなりました。中央公園文化センターは旧東京第一陸軍造兵廠本部で、後に米陸軍司令部として使用された建造物です。現在の北区十条台1丁目・王子本町三丁目に位置します。

TOD第5地区

米軍板橋射場が設置されていました。現在の板橋区加賀、北区十条台2丁目、上十条3丁目に位置します。

稲付射場

戦前の工廠稲付射場でした。返還後は北区立梅木小学校などとなっています。現在の北区西が丘2丁目に位置します。

ASA地区・64部隊地区

ASA地区には米軍保安司令部（ASA）が設置されていましたが、後にTOD第4地区に併合されました。64部隊地区も同様にTOD第4地区に併合されました。

貨物線

軍用貨物を赤羽駅に運ぶための貨物線が存在していました。現在、赤羽自然観察公園から赤羽駅近くまでの間は「赤羽緑道公園」として、線路柄のタイルを敷き詰めて維持されています。

まとめ

東京兵器補給廠（TOD）は、戦後の日本の歴史を語る上で重要な場所です。米軍による接収、そして返還後の変遷は、日本の社会や都市開発に大きな影響を与えました。各地区の現在の姿を訪れることで、その歴史をより深く理解することができるでしょう。

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