東京都交通局上野懸垂線

上野懸垂線について

上野懸垂線（うえのけんすいせん）は、東京都台東区に位置する恩賜上野動物園内を走る初のモノレール路線であり、1957年に開業しました。このモノレールは、上野動物園東園駅と西園駅の2つの駅を結ぶ形式で運行されていました。遊戯施設としてではなく、地方鉄道法に基づく正式な鉄道路線であり、約332メートルの短い距離を運行していました。

開業当初から多くの親子連れに利用され、動物園訪問の手段として親しまれてきました。しかし、動物園内を横断する公道を跨ぎ、全てが園内ではなくなっていたため、遊戯施設扱いではありませんでした。このことにより、あくまで交通機関として運用されていたのです。

歴史的背景

1956年に東京都は、新しい都市交通手段として懸垂式モノレールの建設を決定しました。その結果、上野動物園内にこのモノレール路線を建設することが決まり、1957年の開業を迎えました。この新しい交通機関は、当時の交通渋滞を軽減することを目的として導入されたものでした。

モノレールは、当時研究段階にあり、ドイツのヴッパータールで運行されていたランゲン式を参考にし、日本独自の「上野式」とも呼ばれる形式が採用されました。開業以来、このモノレールは上野動物園の重要な交通手段として利用者に親しまれてきました。

運行休止と廃止

しかし、2019年11月1日、運行車両の老朽化に伴い、東京の交通局は運行を休止しました。その後、2023年には正式に廃止が決定されました。休止期間中には、バスによる代替交通がおこなわれ、動物園へのアクセスは維持されていました。

廃止の理由

上野懸垂線の老朽化は否めないものであり、元々の施設が経年劣化していたため、運行を続けることが技術的に困難な状況でした。東京都では新たな交通手段の整備を検討し、パンダを中心とした新たなテーマのエリア開設に合わせ、適切なルート選定をする必要があったのです。

新しい代替交通施設として、小型モノレールや都市索道の導入が提案されました。2024年にはその選定が公表され、環境に配慮した省エネルギーシステムを採用した乗り物が予定されています。このように、東京都は上野懸垂線廃止後も地域の交通問題に取り組み続けています。

利用状況と成績

過去には、上野懸垂線は年間の利用者数が300万人を超えることもあり、特に人気の動物であるジャイアントパンダの展示の際には大きな乗客数を記録しました。利用者数は、上野動物園の訪問者に影響され、数えきれないほどの想い出を利用者に与えました。

開業から廃止までの間、上野懸垂線は東京都の公共交通機関の一環として、地域住民や観光客にとって大切な移動手段として機能し続けたのです。

結論

上野懸垂線の廃止は、多くの人にとってひとつの時代の終わりを意味します。しかし、東京都は新たな交通手段の整備を進めており、未来に向けた新たな展望が期待されています。上野動物園の一部として親しまれてきたこのモノレールの思い出は、これからも多くの人々の心に残り続けるでしょう。

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