都市索道

都市索道について

都市索道（としさくどう）とは、都市において交通手段として用いられる索道の一種です。このシステムは、都市型索道や都市型ロープウェイとも呼ばれ、都市内のアクセス性を高めるために設計されています。

概要

都市索道は、従来の交通機関と比較していくつかの利点があります。まず、空中を通ることで地上の交通スペースを有効に活用することができます。また、急勾配や川を渡るような地形の障害にも対応しやすく、循環式の場合はエスカレーターのように連続運行が可能なため、待ち時間も短縮されます。その上、各搬器には運転士が必要ないため、運行するための人員も少なく済むことが大きな特徴です。さらに、車両からの排出ガスが少なく、騒音も少ないため、環境への負担も少なく抑えられています。

一方で、都市索道にはいくつかの欠点もあります。たとえば、輸送能力はバスに比べると大きいですが、鉄道に比べると劣ります。また、直線的な軌道しか敷設できず、進路を曲げるためには中間駅を設ける必要があります。速度に関しても、例えばびわ湖バレイロープウェイのように、最高速度が約40km/hに制限されることがあり、長距離の移動には適していません。

最近では、これらの問題を克服する技術的な進展も見られます。3Sロープウェイの懸垂器を交換し、上野式に類似した懸垂式モノレールにするアイデアや、自動運転技術を取り入れたバスやULTraシステムと連動させる構想もあります。実際に、Iビーム式モノレールのスカイレールの実用化が進んでおり、Zipparという自走式搬器型の都市索道が開発されています。

搬器は、普通索道と呼ばれる閉鎖式のものが主に使用され、安全性確保の観点から開放式搬器はまず採用されません。運行方式はゴンドラリフトやロープウェイが一般的ですが、特に「きらゴン」のように連接式搬器の固定循環式を用いる例も見られます。交通手段としての都市索道は、0.3kmから4.2km程度の短距離移動に最も適しているとされていますが、冷房や照明などの電力需要が増えるため、電源確保が重要な課題となります。例えば、「きらゴン」では専用の搬器に小型発電機が搭載され、冷房にも対応しています。YOKOHAMA AIR CABINでは、各ゴンドラに蓄電池を設置し、エアコンが利用できるようにしています。

歴史

都市索道の起源は主にスキー場や観光地での利用に遡りますが、都市交通としての利用は長い間注目されてきませんでした。この背景には、固定循環式や交走式の特性が影響しています。特に、日本では1912年から1920年にかけて大阪での初代通天閣を利用したロープウェイや、東京の博覧会でのケーブルカーなど一部の例があったものの、その後は主に観光地での運行に限られていました。

しかし、固定循環式を改良し、自動で搬器を切り離す技術が普及し始めると、環境への配慮から都市交通としての索道が再評価されてきました。2010年にはドイツで3Sロープウェイ方式のザイルバーン・コブレンツが開業し、ロンドンでのロンドン・ケーブルカーも注目を集めました。これに伴い、ボリビアのラパスでは大規模な都市索道路線が完成し、日本でも2021年に横浜みなとみらい地区にYOKOHAMA AIR CABINが開業するなど、都市索道の導入が進んでいます。

主な都市索道

• - ヨーロッパ:

- ドイツ: ケルン・ザイルバーン
- イギリス: ロンドン・ケーブルカー
- スペイン: テレフェリコ・デ・モンジュイック

• - アジア:

- 日本: YOKOHAMA AIR CABIN
- 韓国: 松島海上ケーブルカー

• - 南北アメリカ:

- アメリカ: ルーズベルト・アイランド・トラムウェイ

• - アフリカ:

- アルジェリア: テレフェリク・トレムセン

都市索道の可能性は今後も広がりを見せており、ますます多くの都市がこの交通手段の導入を検討しています。

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