東京都交通局12-000形電車

東京都交通局12-000形電車

東京都交通局12-000形電車は、1991年12月10日に営業運転を開始した都営大江戸線用の通勤形電車です。本記事では、その概要、車両概説、試作車、次車分類、導入後の動向について解説します。

概要

1986年に試作車が登場し、各種試験を経て1990年に量産車が登場しました。2000年までに8両編成53本（424両）が増備され、製造メーカーは日本車輌製造と日立製作所です。走行システムには、鉄輪式リニアモーター駆動方式を全国で2番目に採用し、関東の地下鉄では初の採用となりました。

車両概説

車体

アルミニウム合金製車体に、大江戸線のラインカラーであるマゼンタ色の濃淡2色の帯を巻いています。居住性向上のため、車両限界を最大限に使用しており、車体断面は側窓から天井に向かって狭くなっています。

内装

アイボリー系の化粧板、ベージュと茶色のフットライン入り床材を採用しています。天井は薄型冷房装置とパネル式平天井により、2,100mmの高さを確保しています。座席は濃いピンク系のバケットシートで、1人分の掛け幅は460mmです。車椅子スペースは4号車に設置されています。

運転台

乗務員室内は奥行き2,200mmと広く、運転台は進行方向に向かって右側に設置されています。運転台計器台は紺色で、正面パネルには放送・無線操作器、デジタル式速度計、バーグラフ式メーター、保安表示灯などが配置されています。

主要機器

制御装置には、日立製作所製のGTOサイリスタ素子によるVVVFインバータ制御を採用しています。主電動機は車上1次片側式三相リニア誘導電動機です。台車は軸箱支持方式に積層ゴムを用いた自己操舵機構を有するリニアモーター駆動方式空気ばね台車を採用しています。

次車分類

1次車

1990年9月から10月にかけて光が丘検修所（当時）に搬入されました。外観デザインは「次世代感覚」「親しみやすさ」「軽快感」をモチーフとし、ソフトなイメージを表現しています。前頭部は傾斜のある流線型で、大きく曲面を帯びた形状です。

2次車

1次車の重要部検査時の予備車確保のため、1994年12月に製造されました。外観ではスカートを長くし、連結器はカバーをやめて露出状態となりました。車内では連結面の幌を狭幅化し、蛍光灯カバーを減らして照度を向上させています。英語による自動放送もこの編成から導入されました。

3次車

1997年3月から9月にかけて増備されました。車体外板を無塗装化し、乗務員室を拡大、主制御装置にIGBT素子を採用しました。補助電源装置を集約化し、ATC・ATO装置の構成を変更しています。前面にレインボーカラーの帯を追加し、電気連結器を設置しました。

4次車

環状部開業用として1999年から2000年にかけて製造されました。基本的な仕様は3次車と同一ですが、VVVFインバータ装置と補助電源装置のメーカーが変更されています。

試作車

1986年3月に2両が落成し、馬込検車場に搬入されました。「21世紀にも通用する車両」「省エネルギー、省メンテナンス化」「最新技術の導入」をコンセプトとしています。車体は軽量ステンレス構造で、前面は非対称な流線形です。車内には床置式冷房装置を採用しました。リニアモーター試験も行われ、量産車に多くの実績が採用されました。引退後は豊島区の公園で静態保存されています。

導入後の動向

1次車・2次車は2007年からC修繕工事が行われました。2014年度からは12-600形が導入され、置き換えが開始されました。2016年6月30日に1次車の第04編成が運用を離脱し、大江戸線の塗装車は消滅しました。その後も12-600形の増備により、12-000形の廃車が進んでいます。

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