東京都交通局8500形電車

東京都交通局8500形電車の詳細

東京都交通局8500形電車は、1990年に登場した東京都交通局の路面電車で、荒川線の活性化を目的とした新車両です。これまでの車両を置き換えるために開発されたこの電車は、1990年から1993年にかけて5両（8501 - 8505）が製造されました。8500形の登場は、1962年の7500形以来実に28年ぶりの新型車両となります。

当初は8500形が荒川線の全車両を置き換える計画でしたが、財政的な理由により5両のみの製造にとどまりました。したがって、いくつかの7000形に対する代替という形になりました。このような経緯から、8500形は都電のイメージを一新する重要な役割を果たすことになったのです。

車体構造と設備

8500形の車体は全鋼製の軽量構造で作られており、従来の7000形や7500形と比べて窓が大きく、パールホワイトをベースとした明るい塗装が施されています。また、車体下部には緑の帯がついており、スリムで現代的な印象を与えます。

車両の走行機器には、WN駆動方式と初のVVVFインバータ制御が採用されています。全長は13メートル級で、後に導入される新造車両も同様のスペックとなりました。運転台は1軸2ハンドル式のマスコンが設置されており、集電装置はZパンタグラフが使われています。

行先表示器は、正面には字幕式、側面にはLED式を採用しており、車内には運転席裏側と降車口上部にそれぞれ4か所のLED式車内案内表示器が設けられています。自動案内放送も初めて導入され、増員された車両は女声による音声合成方式を用いています。これは、その後の荒川線の車両にも広がっていきました。また、乗降をスムーズにするため、片開きドアと両開きドアが適切に配置されています。

増備と改造

8500形は、1992年から1993年にかけて増備され、8502と8503、8504と8505の合計4両が新たに設計されたことでフロントデザインが少し変更されました。これに伴い、座席配置も見直され、各車両により一層の快適さを追求しています。

これまでに、集電装置は従来のZパンタグラフからシングルアーム型へと換装され、2011年までに全車両の改造が完了しました。さらに、2011年からは表示器のLED化や案内放送の更新も進められ、現在では現代の技術に合わせたシステムが整っています。

2013年からは、走行機器の更新も行われており、GTO式からIGBT式への移行作業が行われています。この更新は、8500形の信頼性をさらに高める狙いがあります。

未来の展望

東京都交通局は、2025年に8500形の一部を「楽しい都電」をテーマにしたリニューアルを発表しました。水戸岡鋭治氏のデザインによって新たに生まれ変わる予定で、改装費用の一部はクラウドファンディングを通じて集められるとのことです。このリニューアルによって、さらに多くの利用者を期待できるでしょう。

また、8500形は2000年からラッピング広告に用いられるようになり、最近では警視庁とのコラボレーションによる広告施策も行われています。このように、8500形は運行と同時に様々な取り組みを通じても東京都交通局に貢献しているのです。

もう一度検索