東京都交通局M形電車

東京都交通局M形電車について

東京都交通局M形電車は、かつて上野動物園モノレールの一部として活躍していた懸垂式モノレール車両です。1967年から1984年までの間、東京都交通局によって使用されており、特に上野動物園へ訪れる多くの人々に利用されていました。

1. 歴史と導入背景

上野懸垂線は、1957年12月17日に日本初の常設モノレール路線として開通しました。当初、この路線では日本車輌製造が製造したH形電車が運行されていましたが、時間と共にその老朽化が進みました。そのため、H形電車の後継車両としてM形電車が導入されることになったのです。

M形電車は、モノレールの特徴である空中を走る特性を活かした設計がなされており、特に「逆傾斜」デザインが採用されました。このデザインは運転士の視界を確保し、直射日光や前面のガラスへの機器油の落下を防ぐ効果も持っています。この新しいデザインは、後の車両にも引き継がれていきました。

2. 車両のデザインと構造

M形電車の車体は、軽量化を図るため、繊維強化プラスチック（FRP）が使用されています。組立においてはコルゲート構造が採用されており、エッジや凹凸が効いたデザインが特徴的です。車体の色はアイボリーで、窓下には赤い帯があり、ここにはステンレス製の帯が施されています。前面には同様にステンレス製の飾り帯が装飾されています。

車内の設計は大人が快適に往来できるよう配慮されており、座席配置は運転台側・連結面側に3人掛けのロングシートが設けられ、それ以外はクロスシートが配置されています。非常時には脱出装置も搭載されており、安全性も考慮されています。また、運転台には主幹制御器が設置され、運転士はレバーによって速度や進行方向を制御します。

3. 運用と運行の変遷

H形電車の運用は1966年11月30日で終了し、その後1ヶ月の整備期間を経て、1967年1月1日からM形電車の運用が始まりました。M形電車は名実ともに2代目の車両として上野動物園モノレールに活躍しており、観光地としての重要性から多くの利用者に愛されました。

しかし、1980年代に入ると、この車両も設備と共に老朽化が進みました。一度は東京都の財政再建計画の一部として廃止が検討されましたが、上野動物園を訪れる人々からの支持を受け、存続が決定。その後、施設の更新に併せて、M形電車は1984年9月に営業運転を終了し、30形という新しい車両に置き換えられることとなりました。

4. まとめ

東京都交通局M形電車は、上野動物園のシンボルともいえる存在であり、そのデザインや技術は、後のモノレール車両に多大な影響を与えました。約17年間にわたり、訪れる人々に景色を提供し続けたこの車両は、今も多くの人々の記憶に残っていることでしょう。

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