東京防衛軍

東京防衛軍

東京防衛軍（とうきょうぼうえいぐん）は、第二次世界大戦終結間際、差し迫った本土防衛体制の強化を図る目的で大日本帝国陸軍内に編成された軍事組織です。

設立の背景と目的

1945年（昭和20年）の夏が近づくにつれて、日本の戦況は悪化の一途を辿っていました。特に、帝都東京はアメリカ軍による大規模な空襲を繰り返し受け、市街地の多くが焼失し、甚大な被害が出ていました。特に同年3月以降の空襲は激しさを増し、都市機能は麻痺寸前の状況に陥っていました。

このような状況下、陸軍は本土への連合軍上陸（米軍コードネーム：コロネット作戦、陸軍省コードネーム：決号作戦）に備える必要に迫られました。同時に、度重なる空襲で混乱する首都圏の治安維持と防衛体制の立て直しが急務となります。このため、被災した東京における兵力再編と警備態勢の確立を目的として、1945年6月に第1航空軍と並行して東京防衛軍が創設されました。

軍の概要

東京防衛軍は、主として首都圏の防衛と警備を担当する部隊として位置づけられました。

歴代司令官

飯村 穣 中将
就任期間: 1945年（昭和20年）6月22日 - 1945年（昭和20年）8月20日
寺倉 正三 中将
就任期間: 1945年（昭和20年）8月20日 - 部隊復員まで

歴代参謀長

江湖 要一 少将
就任期間: 1945年（昭和20年）6月22日 - 1945年（昭和20年）8月25日
日笠 賢 大佐
就任期間: 1945年（昭和20年）8月25日 - 部隊復員まで

最終所属部隊

終戦時において、東京防衛軍は主に以下の部隊によって構成されていました。これらの部隊は、都内の要所や地域ごとに配置され、警備任務にあたっていました。

警備第1旅団

旧東京市王子区（現在の東京都北区）に拠点を置いていました。旅団長は重松吉正少将が務めました。

警備歩兵第1大隊
警備歩兵第2大隊
警備歩兵第3大隊
警備歩兵第4大隊
警備歩兵第5大隊
警備歩兵第6大隊
警備第1旅団通信隊
特設警備第59大隊
特設警備第62大隊
特設警備第64大隊
特設警備第67大隊
第3特設警備工兵隊

警備第2旅団

旧東京市目黒区に主要な配置がありました。旅団長は矢ヶ崎節三少将でした。

警備歩兵第7大隊
警備歩兵第8大隊
警兵歩兵第9大隊
警備歩兵第10大隊
警備歩兵第11大隊
警備歩兵第12大隊
警備第2旅団通信隊
特設警備第60大隊
特設警備第61大隊
特設警備第65大隊
特設警備第66大隊
特設警備第68大隊
特設警備第69大隊
第4特設警備工兵隊
第6特設警備工兵隊

警備第3旅団

旧東京市渋谷区を活動拠点としていました。旅団長は原田棟少将でした。

警備歩兵第13大隊
警備歩兵第14大隊
警備歩兵第15大隊
警備歩兵第16大隊
警備歩兵第17大隊
警備歩兵第18大隊
警備第3旅団通信隊
特設警備第51大隊
特設警備第52大隊
特設警備第53大隊
特設警備第54大隊
第7特設警備工兵隊
第8特設警備工兵隊

これらの警備旅団の他に、以下の独立工兵大隊も東京防衛軍の指揮下に入っていました。

独立工兵第69大隊
独立工兵第83大隊
独立工兵第94大隊
独立工兵第116大隊

これらの部隊は、迫る本土決戦に備えた防衛陣地の構築や維持、そして首都圏の広範な警備任務を遂行しました。

終戦後、大日本帝国陸軍の解体に伴い、東京防衛軍もその役割を終え、復員しました。短期間で姿を消しました。その任務の一部は、後に警察予備隊を経て陸上自衛隊へと引き継がれることになります。

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