東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会

東京電力福島原子力発電所事故調査・検証委員会（政府事故調）について

東京電力福島第一原子力発電所事故調査・検証委員会、通称「政府事故調」は、2011年3月に発生した福島第一原子力発電所事故の原因究明と再発防止策を提言するために、内閣官房に設置された委員会です。

設置目的と経緯

委員会は、事故原因と被害状況の徹底的な調査・検証を行うことを目的としています。従来の調査方法にとらわれず、国民が知りたい情報を積極的に収集し、新たな視点を取り入れることを重視しました。2011年5月24日の閣議決定を経て設置され、2011年12月26日に中間報告、2012年7月23日に最終報告を提出し、活動を終えました。2012年9月28日の閣議決定により廃止されています。

委員会の特徴

委員長を務めた畑村洋太郎氏は、「畑村の考え方で進める」という方針を掲げ、従来の形式にこだわらない調査・検証を強調しました。これは、恣意的な調査ではなく、国民の疑問に真摯に向き合い、多角的な視点から事実を解明しようとする姿勢を示しています。

構成員

委員会は、学識経験者や専門家、実務家など、多様な分野の専門家によって構成されていました。

委員長：畑村洋太郎（工学者）
委員：尾池和夫（地震学者）、柿沼志津子（放射線医学研究者）、高須幸雄（元外務省官僚）、高野利雄（弁護士）、田中康郎（弁護士）、林陽子（弁護士）、古川道郎（福島県川俣町町長）、柳田邦男（作家）、吉岡斉（科学史家）
技術顧問：淵上正朗（技術者）、安部誠治（公益事業論研究者）
事務局長：小川新二（元検察官）

また、事故原因等、社会システム等、被害拡大防止対策等の各チームに分かれて、専門家が調査・検証にあたりました。

調査内容と報告

委員会は、事故発生時の状況、原因、被害状況、および対策に関する詳細な調査を実施しました。中間報告と最終報告では、これらの調査結果に基づいて、事故の教訓や再発防止策が提言されました。

聴取記録公開問題

委員会による関係者への聴取記録の公開をめぐっては、議論がありました。当初、政府は原則公開の方針を示していましたが、委員会は「事故責任の追及を目的としない」として、聴取を非公開としました。しかし、朝日新聞による「吉田調書」のスクープ報道をきっかけに、聴取記録公開の是非が再び問われることになり、最終的に政府は公開へと方針を転換しました。

委員会解散とその後

最終報告書提出後、委員会は解散し、関係資料は内閣官房原子力規制組織等改革推進室に引き継がれました。政府事故調の調査結果は、その後の原子力政策や事故対策に大きな影響を与えました。

関連情報

東京電力福島原子力発電所事故調査委員会（国会事故調）：国会に設置された別の事故調査委員会。
福島原発事故独立検証委員会（民間事故調）：民間団体が組織した事故調査委員会。

外部リンク

公式サイト
東電福島原発事故調査・検証委員会の中間報告（2011年12月26日）
最終報告（2012年7月23日）
「東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会名簿」(pdf)
「事務局専門家(政策・技術調査参事)名簿」(pdf)
政府事故調査委員会ヒアリング記録

政府事故調の活動は、福島第一原子力発電所事故の真相解明と再発防止に向けた重要な一歩となりました。その調査結果は、今後の原子力政策や防災対策を検討する上で、貴重な資料となっています。

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