東儀俊美

東儀俊美 (とうぎ としはる)

東儀俊美（1929年9月14日 - 2011年4月20日）は、日本の伝統音楽である雅楽の第一人者として知られる楽師です。彼は宮内庁の首席楽長や日本芸術院の会員としても長いキャリアを持ち、雅楽の伝承と発展に寄与しました。

生い立ちと教育

東京府に生まれた東儀は、歴史ある四天王寺楽家である東儀家の出身です。家族の中には、彼の父である東儀俊輔をはじめ、優れた雅楽師が存在しました。彼は私立昌平中学校を卒業後、1941年に宮内省楽部楽生として入学し、これが彼の音楽人生の始まりとなります。

音楽キャリアの進展

1949年に宮内庁楽部の楽師となった東儀は、その後すぐに国内外での演奏活動を行い、1959年にはアメリカでの公演にも参加しました。1962年には、著名な雅楽師である安倍幸明に師事し、本格的な雅楽の技術を磨いていきます。彼は1990年には大嘗祭で「悠紀地方風俗歌・風俗舞」を作曲し、同時に舞も演出しました。この作品は、伝統的な雅楽の枠を越えた重要な一歩として評価されました。

1991年には宮内庁楽部の楽長に就任し、さらには1993年に宮内庁の首席楽長にも昇進します。これらの役職は、雅楽だけでなく、日本の伝統音楽全般の発展に向けても大きな影響を及ぼしました。

受賞歴と業績

東儀はその卓越した業績により、1999年には勲五等双光旭日章を受章、さらに2000年には日本芸術院賞と恩賜賞を受賞し、日本芸術院の会員にもなりました。これらの名誉は、彼の音楽に対する尽力とその成果を証明するものです。2003年からは宮内庁楽部の技術指導員としても活動し、多くの新しい才能を育成しましたが、2005年にはその職を退きました。

著作と教育

東儀は、雅楽に関する数々の著書も残しています。1999年に出版された「雅楽神韻」や「雅楽への招待」、2002年の「雅楽縹渺」や「雅楽壱具」などがあり、これらの著作は雅楽の魅力や技術を広く伝えるものとなっています。また、2006年には「楽家類聚」を監修・執筆し、雅楽の知識を整理し後世に伝える役割を果たしました。

晩年と死去

東儀俊美は、2011年の4月20日に神奈川県横須賀市の病院で血液性のがんにより81歳で亡くなりました。彼の死後、文学界や音楽界からは大きな悲しみの声が上がりました。また、没日付をもって従四位および旭日中綬章が追贈され、彼の功績が改めて評価されることとなりました。彼の音楽とその影響は、今後も雅楽の世界で生き続けることでしょう。

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