東儀鉄笛

東儀鉄笛 — 明治・大正を彩る音楽家と俳優

東儀鉄笛（とうぎ てってき）は、1869年7月24日、京都府に生まれました。本名は東儀季治（すえはる）で、彼の家系は雅楽の伝統を受け継いでいました。父は安倍季誕の子であり、祖父の東儀季郛の死後、東儀の姓を名乗ることになります。後に、孫の東儀季信も宮内庁楽部で活躍しました。

来歴

東儀は1872年に東京に移り住み、1879年から宮内省に勤務しました。1890年には雅楽部に所属し、演奏家兼楽手として活動を開始します。1892年には早稲田専門学校文学科に入学したと記録されているものの、公式な記録は残っていません。彼の音楽への情熱はこの頃から特に高まっていったと考えられています。

早稲田大学への関わりが深まるのは、1897年に宮内省を退職してからです。帝国教育会や独逸学協会学校に勤務しながら、音楽だけでなく演劇にも興味を持つようになります。1902年から坪内逍遥に師事し、1905年には早稲田大学で講師として唱歌を教える傍ら、演劇の発展に寄与しました。彼は1906年に文芸協会の創立に参加し、そこから俳優養成に焦点を当てるようになりました。

早稲田大学校歌の作曲

東儀鉄笛の名を全国に広めたのは、早稲田大学校歌の作曲者としての業績です。「都の西北 早稲田の森に…」という歌詞で知られるこの校歌は、相馬御風が作詞したもので、イェール大学の学生歌「オールドイェール」の旋律を取り入れたと言われています。近年の研究によって、彼が「オールドイェール」を参考にしたことがほぼ確実視されています。この校歌は、早稲田大学の歴史と文化に深く根付いており、多くの学生に愛され続けています。

作曲作品と著書

東儀鉄笛は数多くの歌や曲を作曲しました。歌劇「常闇」や、早稲田中学校高等学校第一校歌、さらに広島県の庄原市立本小学校の校歌など、多岐にわたるジャンルで多くの作品を残しています。これらの作品は、教育機関や地域社会においても重要な役割を果たしてきました。

著書としても、彼は音楽教育に貢献し、『小学唱歌教授法』や『音楽通解』などを執筆しました。彼の著作は、後の音楽教育にも影響を及ぼすものとなりました。特に音楽理論や実践についての考えがまとめられ、音楽教育界において重要な資料となっています。

晩年と死去

晩年、東儀は日本音楽史の編纂に取り組みましたが、1925年2月4日に脳出血のために逝去しました。彼が眠る場所は雑司ヶ谷霊園であり、多くの人々にその名が語り継がれています。

まとめ

東儀鉄笛は、明治・大正期において音楽と演劇の両方で大きな影響を与えた人物であり、彼の業績は今なお語られています。彼の作品は、今も多くの人々に歌い継がれ、思い出されることでしょう。

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