東北凶作

東北凶作とは

東北凶作とは、東北地方を襲った冷害や気象災害によって発生する凶作のことです。歴史的に、東北地方はやませなどの影響を受けやすく、繰り返し冷害や凶作に見舞われてきました。特に江戸時代から昭和初期にかけては、大規模な飢饉が発生し、多くの人々が苦しみました。

歴史的な凶作

東北地方では、以下のような凶作が記録されています。

江戸時代
元禄の飢饉 (1692年～1703年)：元禄時代に発生した飢饉。具体的な被害状況は不明。
宝暦の飢饉 (1747年～1757年)：宝暦年間に発生した飢饉。詳細な被害状況は不明。
天明の大飢饉 (1783年～1786年)：天明2年（1782年）から天明7年（1787年）にかけて発生した、江戸時代最悪の飢饉。奥羽地方や関東地方を中心に甚大な被害をもたらし、全国で90万人以上の餓死者・病死者が出ました。
天保の大飢饉 (1833年～1838年)：天保4年（1833年）から天保9年（1838年）にかけて発生した飢饉。東北地方で多数の農民が餓死し、深刻な被害が出ました。
明治時代以降
1902年（明治35年）の凶作：具体的な被害状況は不明。
1905年の大凶作（明治38年）：「天明以来の大飢饉」と言われるほど被害が甚大でした。特に岩手県、宮城県、福島県での被害が深刻でした。
1913年（大正2年）の凶作：具体的な被害状況は不明。
1934年の大凶作（昭和9年～昭和10年）：青森県、岩手県、宮城県を中心とする東北地方で大凶作が発生。昭和8年からの大雪に加え、昭和9年7月末からの冷害により作付け面積の96%が被害を受け、収量は平年の約6割にとどまりました。この大凶作は昭和恐慌と重なり、都市部の大失業、所得減少、帰農による人口圧力などによって農村経済は疲弊し、農家の家計は困窮化しました。その結果、東北地方や長野県では若い女性の身売りや欠食児童が続出し、二・二六事件の背景にもなりました。
1941年（昭和16年）の凶作：具体的な被害状況は不明。
1945年（昭和20年）の凶作：具体的な被害状況は不明。
1980年～？（昭和55年～？）：具体的な被害状況は不明。

20世紀以降の大凶作

20世紀以降では、1905年と1934年の大凶作が特に大きな被害をもたらしました。

1905年の大凶作

1905年（明治38年）の大凶作は、特に岩手県、宮城県、福島県で甚大な被害が出ました。「天明以来の大飢饉」と言われるほど、深刻な被害をもたらしました。

1934年の大凶作

1934年～1935年（昭和9年～昭和10年）にかけて、青森県、岩手県、宮城県を中心とする東北地方で大凶作が発生しました。昭和8年（1933年）からの大雪に加え、昭和9年7月末からの冷害によって、東北6県の作付け面積の96％が被害を受け、収穫量は平年の約6割にとどまりました。この大凶作は昭和恐慌と重なり、都市部での失業や所得減少、都市住民の帰農などによって農村経済が疲弊し、農家の家計は困窮化しました。その結果、東北地方や長野県などでは若い女性の身売りが起こり、欠食児童が続出しました。この状況は、二・二六事件の背景の一つにもなりました。また、世界恐慌から始まるブロック経済の進展が、満州事変から始まる15年戦争へとつながる背景にもなったと考えられています。
1993年の大凶作
飽食の時代に発生した大凶作。具体的な被害状況は不明。

その他の情報

* 八戸では、飢饉のことを「けがじ」という。

まとめ

東北地方は、歴史的に冷害による凶作に苦しめられてきた地域です。特に江戸時代から昭和初期にかけては、大規模な飢饉が発生し、多くの人々が命を落としました。これらの凶作は、東北地方の歴史を語る上で欠かせない出来事であり、現代社会においても、自然災害への備えや食糧問題の重要性を教えてくれます。

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