東北大学金属材料
研究所(IMR)は、社会のニーズに応じた材料の創出を目指し、理学と工学の融合による研究教育を展開している日本の研究機関です。
1916年に設立されたこの
研究所は、国立大学附置
研究所の中でも最も古い歴史を持ち、さまざまな物質や材料に関する多岐にわたる研究が行われています。特に金属材料に関する研究が行われており、最近ではその研究領域は非金属や複合材料などにも広がっています。
設立の背景
当
研究所が設立された背景には、
1914年の第一次世界大戦による物資の
輸入停止の影響があります。この時期、日本では鉄鋼の自給が求められ、東北
帝国大学の
本多光太郎教授が中心となり、良質な鉄鋼材料の国産化を目指して研究を開始しました。この進展により、
1916年には磁性鋼の一種であるKS鋼が発明され、その後は「附属鉄鋼
研究所」と名付けられました。設立から3年後、研究の焦点が広がったことを背景に「金属材料
研究所」と改称されました。
研究体制と広がり
現段階では、IMRは5つの研究部と27の研究部門を有し、さらに2つの共同研究部門といくつかのプロジェクトおよび附属研究施設を持つ、総合的な組織体制を確立しています。研究者らは、大学院の理学や工学の教育にも従事しており、その割合はほぼ均等です。研究は、基礎から応用にわたり、材料の実用化に焦点を当てる「金研精神」が根底にあります。
高度な研究と国際的評価
IMRは、特に材料科学の分野において国際的に高い評価を受けており、学術情報提供会社ISIによるランキングでは
2001年に世界第1位に選ばれました。後には
2006年にはマックス・プランク
研究所に続く2位となり、これらの成果は主に元所長の
井上明久氏など多くの研究者の貢献によるものです。競争原理を促進するために教官には任期制が導入され、より活発な研究環境が整えられています。
共同利用と国際展開
1987年には金属材料
研究所が全国共同利用
研究所として改組され、2009年には材料科学共同利用・共同研究拠点に、さらに2018年には国際共同利用拠点に認定されました。このように、
研究所は国内外の研究者との協力を推進し、さらなるイノベーションを目指しています。また、IMRは海外にも複数の拠点を有し、世界の研究界との連携を深めています。
組織構成と研究分野
研究所は、材料物性、設計、創製、プロセス評価など、多様な分野に分かれて研究が行われています。例えば、材料物性研究部では金属物性論や結晶物理学、磁気物理学などが研究され、材料設計研究部では量子機能物性や計算材料学などが扱われます。また、物質創製研究部ではランダム構造物質学や非平衡物質工学が探求されています。
このように、
東北大学金属材料
研究所は、広範な研究領域と国際的なネットワークを持ち、多様な材料科学の発展に寄与している重要な研究機関です。