東司

東司（とうす）について

東司とは、寺院における便所を指し、別名雪隠とも呼ばれる、この場所は日本の仏教伝統において特別な位置を占めています。寺院は、七堂伽藍と呼ばれる重要な施設から構成されており、その一つとして東司は位置付けられています。特にここには不浄を清める烏枢沙摩明王が祀られているため、単なる便所としての機能だけでなく、精神的な清浄さも求められる場です。

禅の実践の中で、日常生活すべてが修行と見なされるため、東司も心身を練磨するための重要な道場となります。特に禅堂や浴室と共に、東司は「三黙道場」の一部として静けさを重視する場となっています。利用する際には、特定のマナーが厳格に守られる必要があります。たとえば、入り方や、衣の扱い方、しゃがみ方などは細かく定められており、また唱える偈文についても厳密な規則があります。これにより、東司は単なる便所ではなく、心を整えるための神聖な空間とされています。

「東司」という語は、もともと便所を守護する神を指していました。この『東』と『西』に分けられた区別は、古くは寺院の役職によって使い分けられていた背景があります。時代が進むにつれ、「東浄」と「西浄」の呼称の変遷があり、次第に「東司」という名称が一般的になっていったようです。

現存する東司の遺構は非常に限られていますが、特筆すべきものとして東福寺の東司が挙げられます。これは室町時代に建造されたものであり、日本最大かつ最古の禅宗式の東司として重要文化財に指定されているため、現在は使用されていません。もう一つの代表例は永平寺にある「七間東司」です。この名が示す通り、七間の広さを誇るこの東司も、特別な意義を持つ建物です。

このように、東司は単なる便所以上の意味合いを持ち、多くの規範や伝承が刻まれている場所です。日常生活の中で、清浄さや静けさを重要視する禅の教義が反映されているこの場所は、訪れる者に深い精神的な影響を与えていると言えるでしょう。

以上のように、東司は寺院の重要な要素であり、精神的な修行とも関連の深い場です。その存在は、私たちの心の清浄を保つための一助となることでしょう。

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