東周英雄伝

『東周英雄伝』

概要

『東周英雄伝』は、台湾出身の漫画家・鄭問（ていもん）が日本で発表した漫画作品です。本作は、古代中国の春秋戦国時代を舞台にした歴史漫画で、各話が完結している形式が特徴とされています。1990年から1993年にかけて、講談社の『モーニング』誌に連載され、全3巻が出版されました。この作品は、1991年度の日本漫画家協会賞で優秀賞を受賞しており、鄭問は日本人以外の漫画家として初めてこの栄誉を手にしました。

作品の背景

本作は、鄭問の代表作であり、彼の日本デビュー作でもあります。作品のスタートは、講談社からの依頼によるもので、鄭問はその際に「ペンとスクリーントーンを使わない」という独自の条件を提示しました。この条件に応じて、彼は墨や毛筆、さらには手のひらや砂絵、歯ブラシ、ポリ袋、生きたゴキブリまでを画材として使用しました。このようなユニークなアプローチは、作品に独特の芸術性を持たせ、詳細にこだわった描写が特徴です。

締切が迫る中でも、鄭問は細部の仕上げに妥協せず、作品の質を追求しました。その姿勢から、単なる漫画にとどまらない芸術作品としての評価も得ました。さらに、1995年には本作を原作とした長編アニメ『孔子傳』（出崎統監督、NHK製作）が公開されましたが、アニメ版は原作と内容が大きく異なります。

各話の構成

復刻された単行本（KCデラックス版）に基づく各話の表記は「英雄ノ○」となっており、例えば第1話は「英雄ノ一」となります。全巻の末尾には、作中の関連年表や地図、著者のあとがきなどが収録されています。また、第3巻には書き下ろしのイラスト集や訳者のあとがきも収められています。このような付録は、作品の理解を深める助けとなります。

書籍情報

本作は、鄭問著、徳田隆訳として以下の書誌情報で発行されています：

• - 講談社〈KCデラックス〉版、全3巻

- 第1巻：1990年12月14日発売、ISBN 978-4-06-313190-1
- 第2巻：1991年09月18日発売、ISBN 978-4-06-313242-7
- 第3巻：1993年10月20日発売、ISBN 978-4-06-319424-1

• - 講談社〈講談社漫画文庫〉版、全3巻

- 第1巻：1994年12月02日発売、ISBN 978-4-06-260007-1
- 第2巻：1994年12月02日発売、ISBN 978-4-06-260008-8
- 第3巻：1995年02月02日発売、ISBN 978-4-06-260019-4

• - 原語版『東周英雄傳』も大辣出版から全3巻が2012年に発行されています。

『東周英雄伝』は、その独自のアートスタイルと深い歴史的背景により、多くの読者に愛されている作品です。

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