ポリ袋

ポリ袋：素材から環境問題まで

ポリ袋とは何か？

ポリ袋は、ポリエチレンやポリプロピレンといった合成樹脂から作られる袋の総称です。一般的に「ビニール袋」と呼ばれるものの大部分は、ポリエチレン製のポリ袋です。スーパーマーケットなどで広く使われているレジ袋も、その代表例と言えるでしょう。 ただし、特殊な用途ではナイロンやポリ塩化ビニルといった素材も使用されます。例えば、真空包装には通気性の低いナイロンが、血液バッグには血液の凝固を防ぐポリ塩化ビニルが用いられています。

ポリ袋の歴史と普及

耐久性と経済性に優れるポリ袋は、高度経済成長期に急速に普及しました。特に、スーパーマーケットでのレジ袋の導入（昭和50年代、関西発祥）は、食生活の変化に大きく貢献しました。 パンなどの食品が、ポリ袋のおかげでスーパーマーケットに並ぶことが容易になったのです。 しかし、近年では環境問題への配慮から、ポリ袋の使用削減や有料化の動きも広がりを見せています。多くの小売店では、ポリ袋の不要を伝えることでポイント付与や値引きといったサービスを提供しています。

ポリ袋の環境問題

ポリ袋の環境問題として、大きく分けて以下の点が挙げられます。

1. 焼却時の問題： ポリ袋は燃焼時に高熱を発生するため、焼却炉を傷める可能性があります。近年は焼却炉の技術向上により問題は軽減されていますが、それでも完全に解消されているわけではありません。また、炭酸カルシウムを混ぜることで焼却時の影響を軽減する試みもありますが、ゴミの組成は多様であるため、効果にはばらつきがあります。

2. 自然分解しない： ポリ袋は自然界では分解されません。そのため、海洋プラスチックごみ問題の一因となり、ウミガメなどの海洋生物が誤って摂取してしまうケースも発生しています。この問題への対策として、生分解性や光分解性のポリ袋の開発が進められています。

3. 素材の問題： 過去には、ポリ袋の印刷にカドミウムやクロムなどの重金属を含む顔料が使われていましたが、現在は環境に配慮した有機顔料が用いられるようになっています。

まとめ：ポリ袋の現在と未来

ポリ袋は、私たちの生活に欠かせない存在でありながら、同時に環境問題を引き起こす可能性も秘めています。 その利便性と環境への影響という相反する側面を理解し、適切な使用と廃棄方法、そして環境負荷の少ない素材の開発と普及が、これからの課題と言えるでしょう。 生分解性ポリ袋などの開発も進められていますが、実用化や普及にはさらなる技術革新と社会的な取り組みが必要となります。 消費者の意識改革と、企業による環境配慮への取り組みが、持続可能な社会の実現に不可欠です。

参考文献

栗田真司、『ポリ袋でつくる』（大月書店、1992）

もう一度検索