東大室町

群馬県前橋市の東部に位置する東大室町（ひがしおおむろまち、郵便番号379-2105）は、2013年時点でおよそ2.22平方キロメートルの面積を持つ地域です。赤城山の南麓末端に広がり、豊かな自然に囲まれた地形が特徴です。地形的には、北東から東にかけて多田山の丘陵が南北に連なり、その他のエリアは北から南へとなだらかに傾斜しています。地域の西側を神沢川が、多田山の西下を桂川がそれぞれ南へ流れ、五料沼という湖沼も存在し、水辺の潤いをもたらしています。

東大室という地名は江戸時代には既に存在し、その支配者は目まぐるしく変わりました。大胡城主牧野氏領に始まり、元和2年（1616年）には前橋藩領、明和5年（1768年）には幕府領と変遷し、天保15年（1844年）には幕府領と旗本領に分割されるなど複雑な経緯をたどります。もともとは現在の西大室町と一体で「大室村」と称されていました。

明治維新後の1889年（明治22年）、町村制施行により周辺10村と合併して南勢多郡荒砥村の一部となります。1896年（明治29年）には勢多郡に所属変更。昭和に入り、1957年（昭和32年）に木瀬村と合併して城南村となり、1967年（昭和42年）5月1日の城南村の前橋市への編入により、現在の前橋市東大室町が誕生しました。

地名の由来には諸説あります。一つには、地域に古墳や「大穴室」と呼ばれる地形が多いことにちなむという説。また、神話の御諸別命の「御諸」が転訛したとする説も有力です。さらに、東の多田山と西の古墳丘陵に挟まれた地形が、古くから人々が住み、神を祀ってきた聖なる地「室」に由来するという考え方もあり、この地の歴史や古代からの営みを示唆しています。

交通は道路網が中心で、鉄道駅はありません。重要な路線として国道50号線が東西に走り、その他にも群馬県道76号前橋西久保線、群馬県道103号深津伊勢崎線、群馬県道114号苗ヶ島飯土井線といった県道が地域内を結んでいます。

町内には、教育施設である群馬県立しろがね特別支援学校があります。また、地域住民の信仰を集める東大室神社が鎮座しています。この地が古代から重要な場所であったことを示す史跡も点在しており、大室古墳群の一部であり、隣接する西大室町にもまたがる中二子古墳や、古代の農業土木遺産として国の指定史跡である女掘（おんなぼり）など、この地が持つ歴史的な深さを感じさせます。これらの要素が、東大室町の現代と歴史、そして自然が調和した地域性を形作っています。

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