東大橋 (広島市)

東大橋：広島の街を見つめてきた歴史ある橋

広島市猿猴川に架かる東大橋は、広島の歴史と深く関わってきた橋です。昭和初期に木橋として架けられたその歴史は、戦災や水害といった幾多の困難を乗り越え、現代へと続いています。

初代東大橋と戦災

1933年（昭和8年）、木橋として誕生した東大橋。当時、上流には国鉄宇品線の鉄橋（現在の平和橋）が架かっていました。仁保橋が架けられる1966年までは、猿猴川では東大橋より下流に橋がなく、広島市内でも貴重な橋の一つでした。

1945年（昭和20年）8月6日、原爆投下。爆心地から2.9kmの距離にあった東大橋は、奇跡的に大きな被害を免れました。多くの被災者がこの橋を渡って東へ避難し、大洲通りへと続く道路は、負傷者や救護物資を運ぶ人でごった返しました。当時、正午頃までは憲兵が橋に立ち、市内への通行を規制していたと伝えられています。翌7日からは、この付近で被災者の火葬が行われるなど、東大橋は悲劇と希望が交錯する場所となったのです。

同年9月には、枕崎台風による水害で橋脚が沈下。戦後、木橋で再建されましたが、老朽化が進んだため、1962年（昭和37年）、鋼H桁橋に架け替えられました。1969年には上流側に人道橋が併設されましたが、下流側の旧橋の橋脚は撤去されずに残っていました。

老朽化と再開発、そして新たな東大橋へ

長年、広島市民の生活を支えてきた東大橋でしたが、老朽化が進み、周辺の段原地区の再開発やマツダスタジアム周辺の慢性的な渋滞問題の解決のため、2009年に旧橋の車道橋が撤去され、仮歩道が架けられました。その後、2011年から本格的な再架橋工事が始まり、総工事費約25億円をかけて、2019年に新たな東大橋が開通しました。

現在の東大橋は、周辺環境に配慮したデザインと、渋滞緩和のための幅広い道路構造となっています。上流には平和橋、下流には広島高速2号線筋の高架橋が位置し、右岸側には比治山病院や広島市立比治山小学校があり、左岸側からは広島県道164号広島海田線（大洲通り）へアクセスできます。

歴史と未来を繋ぐ架け橋

東大橋は、単なる道路橋ではありません。戦災、水害といった歴史的出来事を乗り越え、広島市民の生活を支え続けてきた、歴史と記憶を刻む重要な存在です。今後も、広島の街を見つめ続け、人々の生活を繋ぐ重要な役割を果たしていくことでしょう。再架橋された東大橋は、歴史を継承しつつ、未来へと続く架け橋となっています。

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