東孝光

東孝光: 狭小住宅の先駆者

東孝光（あずま たかみつ、1933年9月20日 - 2015年6月18日）は、日本を代表する建築家であり、大阪大学名誉教授としても知られています。彼は、特に「打ち放しコンクリート」と「狭小住宅」に関連する設計思想の先駆者として、建築史にその名を刻んでいます。彼の代表作である「塔の家」は、都市型住宅の新しい形を示し、多くの後進の建築家に影響を与えました。また、1995年には日本建築学会賞作品賞を受賞しており、その功績は広く認識されています。

略歴

大阪市に生まれた東は、1952年に大阪府立清水谷高等学校を卒業後、1957年に大阪大学工学部構築工学科を卒業。その後、郵政省に入省しますが、1960年には坂倉準三建築研究所の大阪事務所に移ります。1964年には新宿駅西口地下広場の設計に携わり、上京するとともに、わずか6坪強の土地に「塔の家」を建設（1966年）し、注目を集めました。

「塔の家」は、地下1階・地上5階の鉄筋コンクリート構造で、開放的な空間設計が特徴です。間仕切りや扉が少なく、居住者に広がりのある生活空間を提供します。この作品は後の狭小住宅設計に多大な影響を与え、安藤忠雄の「住吉の長屋」などがその例です。以降、彼は「ワット・ハウス」など都市型住宅の設計を続け、100を超える住宅を手がけるに至ります。

また、子供向け施設や公共施設の設計にも積極的に取り組み、さつき保育園や母校である阪大のキャンパス棟の設計なども行いました。彼は日本建築学会の理事などの要職も歴任し、1997年には姫路市都市景観賞を受賞しました。

主要作品

東の業績には数多くの重要な作品があります。特に「塔の家」や「ワット・ハウス」をはじめとする都市型住宅は、彼の設計思想を反映したものです。また、建築作品に限らず、教育者としても多くの学生を指導し、次世代の建築家を育てました。

著書

東はまた、多数の著書を執筆し、住宅に対する考え方や都市住居のデザインに関する研究を発表しています。特に、1971年に出版した「住宅を考えなおす」や、1981年の「日本人の建築空間」などは、その後の建築論に大きな影響を与えました。

結び

彼の業績は、狭小住宅や都市型住宅のデザインに新たな視点をもたらし、現代の建築界においても重要な位置を占めています。2015年6月18日、東は肺炎のために逝去しましたが、その影響力は今なお色あせることはありません。彼が残した作品や思想は、今後の建築においても引き継がれ、多くの人々に感動を与え続けることでしょう。

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