東宝争議

東宝争議の概要

東宝争議（とうほうそうぎ）とは、1946年から1948年にかけて日本の映画製作会社である東宝で発生した一連の労働争議を指します。この争議は、いくつかの段階を経て、最終的には連合国軍が介入する事態を引き起こしました。特に1948年に起きた第3次争議は大規模で、当時の社会に大きな影響を与えたとされています。

背景と発端

東宝争議の背景には、戦後の日本における社会主義運動の高まりがあります。1945年12月、東宝では従業員組合が結成され、これが労働運動の始まりとなりました。日本共産党員が組合活動に関与し、労働者の権利を訴える動きが強まりました。特に、1946年3月に発生した第一次争議は、賃上げを求めるもので、成功を収めたことで組合の勢力が増大しました。

続く1946年10月の第二次争議では、労働時間や新協定について会社側に譲歩を引き出すことに成功し、その影響で東宝の製作本数は激減しました。このような状況の中、組合内部でも支援派と対立派が生まれ、「十人の旗の会」の結成による分裂が発生し、新[[東宝]]という別の映画会社が設立されました。

第3次争議の激化

第3次争議が始まったのは1948年4月です。経営陣は労働条件の協定改定を提案しましたが、これを組合が拒否したことをきっかけに、急速に事態が悪化しました。突然270名の従業員が解雇されることになり、組合は撮影所の占拠に踏み切ります。これにより、さらに緊張した状況が続く中、事態は連合国軍の介入を招く結果となりました。

アメリカ軍の参加により、砧撮影所は包囲され、法的な正義が求められました。組合側は強硬手段に出たものの、最終的には警察と軍による行動が行われ、抵抗が続く中で組合員は職場を退去することを余儀なくされました。

その後の影響

東宝争議は、映画業界に大きな影響を及ぼしました。争議の解決には数ヶ月を要し、最終的には解雇撤回や人員整理の凍結が合意されましたが、組合擁護にあたった多くの人々は東宝を追われました。彼らは独立プロもしくは他の映画会社に移って活動を再開しました。

また、争議を契機として映画製作環境が一新され、東宝は新たな人材を求めることになります。こうして映画製作は再開されたものの、内部の分裂や新[[東宝]]の成長により、東宝は新たな挑戦に直面することとなりました。

第4次東宝争議

1950年には第4次東宝争議が起こりましたが、参加人数は少なく、社会的な影響も限られていました。この争議は、主に新たな人員整理の必要性から発生し、業界全体が不安定な状況から脱却するための重要な局面となりました。

結論

東宝争議は、日本の映画産業における労働運動の重要な一例です。労働者の権利を求める声が高まる中で、企業と労働組合、さらには国家や軍までが交錯する複雑な状況が生じました。この争議を通じて、映画業界の構造や労働環境は大きく変貌し、結果として後の日本映画界に多くの影響を与えることとなりました。

もう一度検索