東急デハ1形電車

東急デハ1形電車は、東京急行電鉄軌道線、現在の東急玉川線（旧・玉川電気鉄道線）で活躍した木造ボギー電動車です。

誕生と概要
1920年9月11日、玉川電気鉄道が東京市電気局（東京市電）への乗り入れを実現するため、軌間を1372mmに改軌しました。この際、21両の車両が投入されましたが、そのうち6両が木造ボギー車であり、16号形と称されました。その後、1924年までに9両が増備され、総勢15両となっています。製造は枝光鉄工所、鶴見木工所、蒲田車両が担当しました。枝光鉄工所製は前後扉付き、その他はオープンデッキという構造でした。側窓はすべて10枚で、枝光製は2×5、その他は3＋4＋3の割合で配置されていました。運転台は低床構造で、台車にはブリル76E1が使用され、集電装置としてダブルポールを前後に装備していました。特に、枝光鉄工所製の形状は、同メーカーが製造した京王電気軌道23形とよく似ていました。

東急への合併と改造
東京横浜電鉄への吸収合併、そして大東急の発足後、16号形はデハ1形と改番されました。鶴見木工所・蒲田車両製の車両については、運転台周辺の車体延長と側扉の取り付け工事が実施されました。戦後には、集電方式がビューゲルに改良されましたが、デハ20形と共に直接制御の単行専用車として運用されました。

鋼体化と晩年
1952年以降、木造車体の老朽化が顕著になったことと、保安性向上のため、デハ80形の増備という形で鋼体化されることになりました。デハ1形を鋼体化した車両は、デハ80形の88～102号として生まれ変わりました。制御方式は間接非自動制御（HL）化され、非常管付直通制動（SME）化も他の80形と同様に実施されました。主電動機などは京浜線デハ5140形（旧京浜電鉄デ51形、後の京急デハ140形）からの流用品によって出力向上が図られました。そのため、デハ1形の旧品として残ったのはブリル台車程度でした。

デハ80形となった旧デハ1形鋼体化グループは、玉川線廃止と共に1969年5月11日に全車廃車となり、その歴史に幕を閉じました。

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