東急5200系電車

東急5200系電車の概要

東急5200系電車は、東京急行電鉄（現・東急電鉄）がかつて運行していた通勤形電車です。1958年に製造されたこの電車は、日本で初めてステンレス鋼製の車体を持つ電車として注目を集めました。初出運行は同年12月1日で、専用に設計された3両編成、デハ5201、サハ5251、デハ5202が製造されました。車両の外板に施された多数のコルゲーションによって、外観には独特の特徴があり、「湯たんぽ」や「ステンレスガエル」といった愛称が付けられました。

ただし、これらは公式な愛称ではなく、6000系の登場以降、「湯たんぽ」という名称は6000系の方に取られていきました。このため、「ステンレスガエル」と「銀ガエル」という名称が定着しました。

車両の構造と性能

5200系の基本性能は5000系と同じですが、5000系が採用した軽量モノコック構造に対して、5200系は一般的な構造が採用されました。その結果、5200系は5000系よりもやや重くなっています。また、骨組みには普通鋼が使用されており、主に「セミステンレス車両」と呼ばれています。この設計は、無塗装でのメンテナンスフリー化を図るもので、耐腐食性を持たせるために部材を薄くすることも考慮されています。

5200系の特徴的な点としては、客室の窓が2段式のつるべ構造を持っていたことが挙げられます。この構造により、内窓を上げるとワイヤーで連動して外窓が降り、通風が可能になる仕組みでしたが、後に通常の窓構造に改造されました。

改造と運用

1972年に実施された更新工事では、車内の強制送風機（ファンデリア）が扇風機に交換され、化粧板や側窓の更新も行われました。客用ドアは小窓に変更され、デハ5202号は1977年の接触事故後に外観が変わることになりました。前照灯は1983年にシールドビームに改修され、その際に車体側面下部のコルゲーションも一部無くなりました。

入線当初は東横線で各駅停車の3両編成として運用されていましたが、1959年には中間にデハ5211を挟んで4両編成化され急行列車にも使用されるようになりました。1964年には田園都市線へ転属し、長い間運用が続きました。1980年に大井町線へ転属したのち、短期間の運用を経て、1986年に営業運転を終了しました。

保存と歴史的価値

この電車は1986年以降、上田電鉄へ譲渡され、最終的には上田交通の1500V昇圧に伴い再利用されました。その後、5200系のデハ5201号は東急に返還され、現在では長津田検車区で保存されています。また、今後「東急車輛産業遺産制度」の第1号として永続保存されることが決定され、同時に2両は機械遺産としても認定を受けています。

5200系は日本の鉄道史において重要な役割を果たしており、その先進的な技術と独特なデザインは、今なお多くの鉄道ファンに愛されています。

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