東播磨県民局

東播磨県民局

東播磨県民局（ひがしはりまけんみんきょく）は、地方自治法第155条の規定に基づき、兵庫県が設置する支庁の一つです。その主な役割は、県と管轄区域内の市町との連絡調整を図り、県民に身近な行政サービスを提供する拠点となることにあります。事務所は加古川市に位置する兵庫県加古川総合庁舎内に設けられています。

沿革

東播磨県民局の前身として位置づけられる組織は、第二次世界大戦中の1942年（昭和17年）に設置された二つの地方事務所に遡ります。一つは加古郡と印南郡を管轄した加印（かいん）地方事務所（加古川町）、もう一つは明石郡と美嚢郡を管轄した明美（めいび）地方事務所（明石市）です。

戦後、1971年（昭和46年）には地方自治法第155条第1項の規定に基づき、兵庫県の出先機関として東播磨県民局（第1次）が加古川市に設置されました。これは現在の県民局制度の基礎となるものでした。

その後、兵庫県は行政機構の見直しを行い、2000年（平成12年）に県民局の数を従来の6局から10局に増設するための県民局設置条例改正を決定しました。この改正に基づき、2001年（平成13年）4月1日、現在の体制である東播磨県民局（第2次）が改めて発足しました。この再編の際、かつて明美地方事務所が管轄していた旧美嚢郡の区域のうち、神戸市北区淡河町を除く地域は、新たに設置された北播磨県民局の管轄へと移行しています。

管轄市町

東播磨県民局が現在管轄している市町は以下の通りです。

• - 加古川市
• - 明石市
• - 高砂市
• - 加古郡

- 稲美町
- 播磨町

なお、一般的に「東播磨」という地域名称が用いられる際には、明石市を含まず、加古川市、高砂市、そして加古郡（稲美町・播磨町）を指すケースが多く見られます。これらの地域は、市外局番が「079の4」で始まる区域とほぼ一致しますが、明石市や加古川市・播磨町の一部には神戸市と同じ「078」が使われている区域も存在します。

組織

東播磨県民局の主要な組織は、加古川総合庁舎内に配置されています。代表的な部署としては、総務企画室、県民室、流域文化参事などがあります。また、税務を担当する加古川県税事務所、公衆衛生や医療・福祉等を担う加古川健康福祉事務所（これは他の都道府県における保健所に相当します）、農林水産業を支援する加古川農林水産振興事務所および加古川農業改良普及センター、社会資本整備を行う加古川土木事務所、そして特定の課題に対応する東播磨南北道路対策室や播磨東教育事務所などが設置されています。かつては明石市にも明石健康福祉事務所がありましたが、こちらは平成30年3月に廃止されています。

所在地・交通アクセス

東播磨県民局が入居する加古川総合庁舎の所在地は、以下の通りです。

兵庫県加古川市加古川町寺家町天神木97-1 （郵便番号 675-8566）

最寄りの交通機関としては、山陽本線および加古川線の加古川駅が挙げられます。駅から南東方向へ徒歩約15分程度の距離にあり、加古川プラザホテルの向かい側に位置しています。

地域PR動画を巡る騒動

2018年3月、東播磨県民局は管轄地域である東播磨地域の魅力をPRするための動画を制作し、インターネット上で公開しました。この動画は、兵庫県南部の主要3地域（神戸、姫路、東播磨）を女性アイドルグループに見立て、「神戸や姫路に比べて東播磨は知名度が低い」という点を自虐的なユーモアを交えて表現した内容でした。

動画公開後、管轄区域内である明石市から強い反発の声が上がりました。特に、当時の明石市長である泉房穂氏は、動画中の自虐表現について「市民から批判が出ている」として問題視しました。市長は2018年4月20日に東播磨県民局の四海達也局長に対し、直接抗議を行いました。この抗議を受けて、県民局は同日中に問題となった動画の配信を停止する事態となりました。

このPR動画の制作費は約500万円でしたが、公開から停止までの約1か月間で記録された再生回数は約7000回に留まりました。この騒動は、地域PRにおける表現の難しさや、自治体間の関係性を示す事例として注目を集めました。

もう一度検索