東方三博士の礼拝 (ボス、メトロポリタン美術館)

東方三博士の礼拝

ヒエロニムス・ボス作とされる「東方三博士の礼拝」は、15世紀の初期ネーデルラント絵画を代表する作品です。この作品は、新約聖書のマタイによる福音書に記された、東方から来た三博士が幼子イエス・キリストを訪れ、贈り物を捧げる場面を描いています。

作品の概要

この絵画は、油彩と金箔を用いて板に描かれており、1474年ごろに制作されたと考えられています。1913年にニューヨークのメトロポリタン美術館に収蔵される以前は、ベルリンのフリードリヒ・リップマン氏が所有していました。美術史家の間では、長らくボスの真作かどうか議論されてきましたが、2016年のボス研究保存プロジェクトによって、下絵の分析に基づき、ボス自身の作品であると結論付けられました。しかし、オランダ美術史研究所では、現在もボスの工房作、またはボス周辺の画家の作品であるという見解を示しています。

作品の特徴

「東方三博士の礼拝」の主題は、幼子イエスに敬意を表するためにやってきた三人の王（マギ）の礼拝です。作品の特徴として、線遠近法が効果的に用いられている点が挙げられます。また、金箔もふんだんに使用されていますが、この金箔の使用はボスとしては珍しい点です。絵画に使用されている顔料は、赤色レーキ、藍銅鉱、鉛錫黄、黄土色などです。

この絵画は、人物の表情が繊細に描かれており、静謐な雰囲気を醸し出しています。これは、ボスが後に描くことになる地獄絵とは対照的で、初期のボス作品の特徴を示しています。舞台のような構図は、天使によって掲げられたカーテンによって強調されており、ボスの故郷であるスヘルトーヘンボスで上演されていた宗教劇の影響を受けている可能性が指摘されています。15世紀末には、三人のマギは異なる出身地を象徴するために、明確に区別されるようになりました。特に、黒人の王は主役として描かれており、豪華な衣装、羽付きのフェズ帽、金のカラー、トルコの湾曲した刀、宝石を象嵌した盾が付いた金色のベルトなどを身に着けています。

関連作品

「東方三博士の礼拝」に関連する作品として、マドリードのプラド美術館に所蔵されている『東方三博士の礼拝の三連祭壇画』が挙げられます。

まとめ

ヒエロニムス・ボスの「東方三博士の礼拝」は、初期ネーデルラント絵画の傑作として、今日でも多くの人々を魅了しています。作品の背後にある歴史や、技術的な側面を理解することで、さらに深く作品を楽しむことができるでしょう。

参考資料

Varallo, Franca (2004). Bosch. Milan: Skira
O'Neill, J, ed (1987). The Renaissance in the North. New York: The Metropolitan Museum of Art.
Matthijs Ilsink, Jos Koldeweij, Hieronymus Bosch: Painter and Draughtsman – Catalogue raisonné, Yale University Press, New Haven and London 2016

外部リンク

[メトロポリタン美術館公式サイト、ヒエロニムス・ボス『東方三博士の礼拝』 (英語'>メトロポリタン美術館公式サイト、ヒエロニムス・ボス『東方三博士の礼拝』 (英語)](https://www.metmuseum.org/art/collection/search/436885))
* オランダ美術史研究所公式サイト、ヒエロニムス・ボス『東方三博士の礼拝』 (英語)

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