東日本大震災復興特別区域法

東日本大震災 復興特別区域法（復興特区法）について

概要

東日本大震災復興特別区域法（以下、復興特区法）は、2011年3月11日に発生した東日本大震災からの復興を目的として、2011年12月7日に成立、同年12月26日に施行された日本の法律です。この法律は、東日本大震災復興基本法に基づき、復興を円滑かつ迅速に進め、活力ある日本の再生に貢献することを目的としています。

復興特別区域制度

復興特区法の中核となるのが、復興特別区域制度です。この制度は、以下の3つの考え方に基づいて設計されました。

1. 地域限定の大胆な措置: 前例や既存の枠組みにとらわれず、被災地の状況に応じて地域限定で思い切った措置を講じます。
2. 地域の創意工夫: 被災状況や復興の方向性が地域によって異なるため、それぞれの地域が創意工夫を生かしたオーダーメイドの復興計画を策定できるようにします。
3. ワンストップでの支援: 地方公共団体の負担を軽減し、迅速な対応を可能にするため、規制・手続きの特例、税制、財政、金融上の特例を総合的に適用します。

これらの考え方に基づき、復興特区法では、復興推進計画、復興整備計画、復興交付金事業計画という3つの法定計画が規定されました。これらの計画は、県または市町村が単独または共同で作成することができます。復興推進計画と復興整備計画の区域が復興特別区域にあたります。

対象区域

復興推進計画と復興整備計画を作成できる区域は、当初、特定被災区域の227市町村でしたが、その後の復興状況などを踏まえ、86市町村に重点化されました。対象となる市町村は以下の通りです。

岩手県: 宮古市、大船渡市、久慈市など12市町村
宮城県: 仙台市、石巻市、塩竈市など15市町
福島県: 福島市、会津若松市、郡山市など59市町村

各計画の詳細

復興推進計画

復興推進計画は、特定地方公共団体が、復興基本方針に基づき、復興推進事業の実施や促進を目的として策定する計画です。この計画を作成することにより、個別の規制緩和や税制上の特例を受けることができます。民間事業者からの提案も可能で、内閣総理大臣の認定を受けることで、住宅、産業、まちづくり、医療・福祉など、様々な分野で特例措置が適用されます。具体的には、建築基準法、道路運送法、農地法などの特例を受けることができます。

復興整備計画

復興整備計画は、市街地の整備や農業生産基盤の整備など、地域の円滑かつ迅速な復興を図るための事業を実施する市町村が策定する計画です。この計画では、土地利用の再編に関する許可や手続きの特例を受けることができます。復興整備事業には、市街地開発事業や土地改良事業などが含まれます。被災した市町村は、復興整備事業を行う区域を届け出対象区域に指定することができます。

復興交付金事業計画

復興交付金事業計画は、著しい被害を受けた地域の復興のための事業に関する計画です。この計画を内閣総理大臣に提出し、復興地域づくりを支援するための交付金を得ることができます。

復興交付金制度

復興交付金制度は、東日本大震災で甚大な被害を受けた地域における復興事業を支援するため、被災自治体に交付金を交付する制度です。この制度により、集落の高台移転や漁港整備、道路整備など、復興地域づくりに必要な事業を一体的に進めることができます。復興交付金は、基幹事業の地方負担額の1/2に相当する額が交付され、被災自治体の財政負担を軽減します。また、交付金で整備したインフラは、被災地域公共団体が維持・管理します。復興交付金は令和2年度で廃止されましたが、一部の未完了事業については、予算の範囲内で支援が継続されています。

復興特別区域の特例

復興特区法では、地域の提案に基づいて新たな規制の特例を追加・拡充する仕組みを導入しています。国と地方の協議会が設置され、規制の特例の整備など、復興の円滑かつ迅速な推進について協議を行っています。

構成

復興特区法は、以下の構成となっています。

第一章: 総則
第二章: 復興特別区域基本方針
第三章: 復興推進計画に係る特別の措置
第四章: 復興整備計画等に係る特別の措置
第五章: 復興交付金事業計画に係る特別の措置
第六章: 雑則
第七章: 罰則
附則

まとめ

東日本大震災復興特別区域法は、被災地の復興を加速させるための重要な法律です。復興特別区域制度を通じて、規制緩和や財政支援などの特例措置を適用することで、被災地の迅速かつ効果的な復興を支援しています。この法律によって、被災地は地域の実情に合わせた復興計画を策定し、より迅速な復興を実現することができます。

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