東日本学校吹奏楽大会

東日本学校吹奏楽大会（ひがしにほんがっこうすいそうがくたいかい）

東日本学校吹奏楽大会は、北海道、東北、東関東、西関東、東京都、北陸の各吹奏楽連盟と朝日新聞社が主催する、学校吹奏楽を対象としたコンクールです。この大会は、前述の地域で行われる吹奏楽コンクールのうち、主に小編成部門（中学校・高等学校）や、小学生部門における上位大会として位置づけられています。

開催の目的

少子化の進行など、学校教育や社会環境が大きく変化する現代において、学校吹奏楽を取り巻く環境も変化しています。特に、部員数の減少に伴う小編成バンドの増加は避けて通れない課題です。こうした状況に対応するため、本大会は小学生バンドの演奏機会の拡大、そして中学生および高等学校における少人数編成バンドの育成と質的な向上を目指しています。多くの参加団体が集まる中で交流を深め、小編成バンドや小学生バンドにとってより良い活動のあり方を追求していくことを重要な目的として掲げています。

参加対象と部門

大会は以下の3つの部門で構成されています。

小学生部門
中学生部門
高等学校部門

大会設立当初（第1回から第10回）は、コンクール部門とフェスティバル部門の2本立てでしたが、2011年度の第11回大会からはフェスティバル部門が廃止され、現在のコンクール形式に一本化されました。

参加資格と規定

本大会への出場には、各支部（北海道、東北、東関東、西関東、東京都、北陸）で開催される予選大会（地区大会、県大会、支部大会など）を勝ち抜き、代表団体として推薦される必要があります。

主な参加規定は以下の通りです。

参加人員：中学生および高等学校は30名以内（2011年度から変更）、小学生は人数制限なしの自由編成です。ただし、各支部によって予選までの規定人数が異なる場合があります。
編成：電子楽器の使用は原則として認められていません。ただし、小学生部門に限り、低音楽器の補助としてエレキベースのみ使用可能です。こちらも支部予選では規定が異なる場合があります。
演奏時間：7分以内です。全日本吹奏楽コンクールと異なり、自由曲のみの演奏で課題曲はありません。
* 参加形態：単独校での参加に加え、合同バンドや地域バンドとしての参加も認められています。

審査と表彰

審査員は7名体制で行われます。演奏は「技術」と「表現」の2項目について、それぞれ10段階で絶対評価されます。審査員の最高点と最低点を除いた評価に基づき、参加全団体に金賞、銀賞、銅賞のいずれかが授与されます。賞の比率は、全体として金3:銀4:銅3がおおよその目安とされています。表彰の形式は大会の歴史の中で変遷してきました。

大会が抱える課題

本大会は、その設立趣旨に基づき運営されていますが、いくつかの課題も存在します。

1. 規定の不統一：6つの吹奏楽連盟が合同で主催しているため、参加人員や部員数に関する規定が各支部で統一されていません。これは各支部の実情を反映した結果ですが、参加者にとっては分かりにくさの原因となり得ます。
2. 全日本吹奏楽連盟との関係：全日本吹奏楽連盟が主催する主要大会（全日本吹奏楽コンクール、全日本小学生バンドフェスティバル）は、元来、東日本大会の対象とするような小編成部門や座奏のみの小学生大会を設置していませんでした。全日本吹奏楽連盟の規程変更は容易ではなく、小編成の全国大会設置は現時点では未定とされています。このため、東日本大会主催支部は、質の向上を果たした団体には全日本吹奏楽コンクール（大編成部門）や全日本小学生バンドフェスティバルへの出場を奨励する立場にあります。
3. 全日本吹奏楽コンクールへの支部代表数への影響：小編成部門への参加団体が増加すると、全日本吹奏楽コンクールへ繋がる「A部門」（大編成）の参加団体数が減少する傾向が見られます。全日本吹奏楽コンクールへの支部代表数は前年度の「A部門」参加団体数に基づいて決定されるため、東日本大会対象地域の「A部門」参加減は、結果として全国大会への出場枠減少に繋がるというジレンマを抱えています。そのため、東日本大会を実施していない地域では、小編成部門の参加人数を厳しく制限したり、小編成部門自体を実施しないといった対策を講じているケースも見られます。
4. 情報周知の不足：大会の開催経緯や各規定に込められた意図が、出場する児童・生徒、保護者、指導者などに十分に伝わっていないという指摘もあります。これにより、一部で規定に対する疑問や改善を求める声があがっています。

過去には、3年連続出場した団体は翌年の本大会へ推薦しないという規定が存在しましたが、これは上記の全日本吹奏楽連盟との関係性や、優秀な小編成バンドには大編成部門へ挑戦してほしいという意図に基づいたものでした。しかし、小編成を維持せざるを得ないバンドにとって厳しい制度であるとの指摘もあり、現在は廃止されています。

吹奏楽専門誌『バンドジャーナル』上でも、長年にわたり本大会の規定、小編成の定義、運営、3年連続出場制度などに関する様々な議論や提言が行われ、大会の現状と課題、今後のあり方について活発な意見交換がなされてきました。

開催時期と会場

本大会は例年10月第2週の土曜日・日曜日に開催されます。開催会場は、北海道、東北、東関東、西関東、東京都、北陸の各支部内での持ち回りとなっています。

近年の動きとしては、2021年の第21回大会からライブ配信が実施されるようになりました。また、全日本吹奏楽連盟でも、少子化への対応として小編成バンド向けの課題曲における規制緩和や、小学生の全国大会である全日本小学生バンドフェスティバルを座奏中心の「ステージパフォーマンス部門」と立奏中心の「マーチング部門」に分離するなど、変化が見られます。

東日本学校吹奏楽大会は、こうした背景や課題を抱えながらも、東日本の学校吹奏楽における小編成バンドや小学生バンドにとって重要な演奏機会を提供し続けています。
交流とレベルアップの場として機能しています。

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