東日本旅客鉄道新幹線統括本部

JR東日本新幹線統括本部：新幹線運行の司令塔

JR東日本は、2019年4月、新幹線に関する業務を一元管理する組織として「新幹線統括本部」を設立しました。これは、国鉄分割民営化以降、新幹線関連業務が本社と各支社に分散していた状況を大きく転換するものです。

設立の背景

国鉄時代、東海道・山陽新幹線は新幹線総局が管轄していましたが、その組織の肥大化が問題視されていました。東北・上越新幹線開業時には、輸送指令業務のみ国鉄本社直轄の東北・上越新幹線総合指令本部が担当し、その他の業務は各地域の鉄道管理局が分担する体制が採られました。JR東日本発足後も、この体制が踏襲され、輸送指令は新幹線運行本部、施設・現業は各支社が担当する分散型体制でした。

しかし、民営化から30年以上が経過し、リスク対応力の向上、人材育成の効率化、新幹線特有の技術維持・向上、迅速な意思決定の必要性が高まりました。これらの課題に対応するため、新幹線統括本部が設立されたのです。

新幹線統括本部の役割

新幹線統括本部は、JR東日本が管轄する全新幹線路線（東北新幹線、上越新幹線、北陸新幹線、山形新幹線、秋田新幹線）に関する広範な業務を統括します。具体的には、以下の業務が挙げられます。

企画・戦略: 新幹線の将来計画策定、運行戦略の立案など
車両管理: 新幹線の車両整備、保守、更新など
設備管理: 線路、電力設備、信号設備などの維持管理
運行指令: 新幹線の運行管理、安全確保など
人材育成: 新幹線関連技術者の育成、研修など

これにより、新幹線に関する専門知識を持つ人材が集中し、効率的な業務遂行、迅速な意思決定、リスク管理の強化が可能になりました。

組織構成

新幹線統括本部は、以下の部門で構成されています。

新幹線企画戦略室
新幹線運輸車両部
新幹線設備部
新幹線電気ネットワーク部
新幹線総合指令所

各部門は、専門性を活かし、新幹線運行の安全と安定に貢献しています。

駅業務との関係

新幹線駅施設の管理・営業業務は、従来通り、在来線を管轄する各支社が担当します。JR東日本の新幹線は、他社の在来線と直通運転を行っていないため、新幹線統括本部が直接駅を管理するケースはありません。

主要な車両基地・乗務員区所

新幹線統括本部は、多数の車両基地と乗務員区所を管轄しています。主なものを以下に挙げます。

車両基地: 東京新幹線車両センター、小山新幹線車両センター、新幹線総合車両センター、山形新幹線車両センター、盛岡新幹線車両センター、青森派出所、秋田新幹線車両センター、新潟新幹線車両センター、長野新幹線車両センターなど

乗務員区所: 東京新幹線運輸区、仙台新幹線運輸区、盛岡新幹線運輸区、新潟新幹線運輸区など

新幹線と在来線の両方に業務がまたがる区所については、当面は従来通り在来線所管本部・支社の管轄となっています。

保線・電気関係区所

新幹線統括本部は、保線・電気関係の区所も管轄しています。これらは、新幹線の安全・安定運行に不可欠な役割を担っています。

保線関係区所: 大宮新幹線保線技術センター、東京レールオフィス、宇都宮新幹線保線技術センター、郡山新幹線保線技術センター、仙台新幹線保線技術センター、北上新幹線保線技術センター、八戸新幹線保線技術センター、青森派出、高崎新幹線保線技術センター、新潟新幹線保線技術センター、長岡派出、長野新幹線保線技術センターなど

電気関係区所: 首都圏新幹線電力技術センター、東北新幹線電力技術センター、上信越新幹線電力技術センター、首都圏新幹線信号通信技術センター、東北新幹線信号通信技術センター、上信越新幹線信号通信技術センターなど

これらの組織が連携することで、JR東日本の新幹線ネットワークは安全かつ効率的に運営されています。新幹線統括本部の設立は、JR東日本の新幹線事業における大きな転換点であり、今後の更なる発展に大きく貢献するものと期待されています。

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