東映セントラルフィルム

東映セントラルフィルムの歴史と影響

概要

東映セントラルフィルムは1977年12月10日に設立された、日本の映画製作と配給を手がけるプロダクションです。設立の背景には、当時の東映社長・岡田茂の意向がありました。岡田は「映画は映画会社だけが作る時代ではない」との信念を持っており、プログラムピクチャーの外注化を目的としてこの会社を設立しました。

設立当初、東映セントラルフィルムは映画を自社制作するのではなく、独立プロに製作を依頼し、その作品を配給する役割を果たしていました。また、東映本体が製作する映画の配給を行うことはなく、独自に映画を企画する「セントラル・アーツ」という部門を設けていました。このような形で、低コストで様々な映画を製作し、需要に応じた作品を迅速に提供することが目指されていました。

設立のバックグラウンド

1970年代後半、東映はプログラムピクチャーの不振に直面しており、岡田はこの状況を打開するため、新しい形の映画制作を模索しました。彼の考えでは、プログラム映画も大作映画と同じように必要であり、その支えとなるための「第二軍」の育成が重要でした。資本金100万円、事務所は東京の銀座に置かれ、専従スタッフはわずか2名という小規模なスタートとなりました。

活動内容

設立後、黒澤満がプロデューサーとしてセントラルフィルムの活動を担い、自身の手がける映画の配給や、他の独立プロから持ち込まれた作品の配給に従事しました。岡田からは、製作費3000万円、撮影日数二週間という条件が課され、低コスト映画の制作が推進されました。

セントラルフィルムは、独立プロからのポルノ映画の外注も受け入れており、これにより中小規模のプロダクションに新たな制作機会を提供しました。しかし、この業界環境の中で独自に生き残るためには、単なる外注のみではなく、自社での映画制作も求められました。

代表作と影響

セントラルフィルムが手がけた代表作には、松田優作主演の『最も危険な遊戯』や、ハリー・リームス主演のポルノ映画『生贄の女たち』などがあります。これらの作品は、特にポルノ映画分野での新たな試みを実現し、成功を収めました。

このプロダクションは1978年の決算で488億円の売り上げを記録しましたが、その後は多様なジャンルの映画を提供し続けました。特に、ニューウェーブの作家たちの作品が公開される機会をもたらし、映画界に新風を巻き起こしました。

解散とその後

1988年、東映セントラルフィルムは解散しましたが、その後も「セントラル・アーツ」として制作活動を続けました。2018年には製作事業を休止しましたが、彼らの影響は今もなお日本映画界に残っています。特に、若手作家や監督にチャンスを与えた役割は大きく評価されています。

結論

東映セントラルフィルムは、日本映画の発展に貢献し、独自のスタイルで低予算映画を生み出し続けることで、映画業界の多様性を広げました。この試みは、現在も様々な形で受け継がれています。

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