東本願寺の時間

「東本願寺の時間」（ひがしほんがんじのじかん）は、真宗大谷派が提供し、ラジオを通じて仏法の教えや真宗の精神を伝えてきた長寿番組です。その歴史は古く、日本の民間放送が開設されたばかりの1951年11月に産声を上げ、以来、64年という長い年月を経て、2015年9月27日に惜しまれつつその歴史に幕を下ろしました。

番組は、当初、朝日放送（ABCラジオ）を皮切りに放送が開始され、全国各地の複数の放送局でネットされるに至りました。放送局によっては、リスナー層や地域特性に合わせて、番組の構成を多少変更して放送していた時期もありました。

番組の内容は多岐にわたり、真宗大谷派に連なる僧侶による仏教講話を中心に構成されていました。これに加えて、一般の人々や各界の著名人が真宗の教えや仏縁にどのように出会い、向き合ってきたのかを描くインタビューや対談企画、さらには、童話作家である渡辺愛子氏が手掛けた『仏典童話』を朗読するなど、バラエティ豊かな構成が企画され、多くのリスナーに親しまれました。

「東本願寺の時間」は単に放送されるだけでなく、その内容が書籍やCDといった形で後の世に残される文化的な影響力も持ち合わせていました。例えば、番組内で放送された平野修師による講話は、『民衆の中の親鸞』という書籍としてまとめられています。また、大谷大学の教授、助教授、講師といった宗教学や仏教学の研究者たちが共同で語った内容は、『ブッダと親鸞－教えに生きる』というタイトルで書籍化されました。特に、子供から大人まで楽しめる『仏典童話』の朗読企画は人気を博し、これがCD化されて出版されるなど、放送から派生した著作物も多数存在します。

しかしながら、時代の流れとともに放送を取り巻く環境が変化し、2015年9月27日をもって64年間のラジオ放送としての歴史を終えることとなりました。最終回に向けて、各ネット局では番組の終了が告知されました。特にニッポン放送では、9月6日の放送において、長年にわたり番組を聴き続けてくれたリスナーへの深い感謝の言葉とともに、放送終了の旨が伝えられています。

ラジオ放送は終了しましたが、「東本願寺の時間」が果たしてきた役割やその精神は失われたわけではありません。放送終了後、2015年10月からはインターネットでの番組配信へとプラットフォームを移し、形を変えてではありますが、引き続き真宗大谷派の教えを伝える活動は続けられています。

宗教系のラジオ番組としては、真宗大谷派のこの番組と並んで、同じ浄土真宗の本願寺派が提供する「西本願寺の時間」や、特定の宗派によらない「宗教の時間」などが知られています。また、真宗大谷派の僧侶であり、ラジオパーソナリティとしても活躍する川村妙慶氏が、京都放送などで自身のラジオ番組を持っていることも関連情報として挙げられます。

もう一度検索